国別報告書の自動的情報交換の実施対象国が増加

租税条約に基づく自動的情報交換の対象国が着々と増加している。租税条約等に基づく情報交換は、納税者の取引などの税に関する情報を税務当局間で互いに提供する仕組み。個人投資家の海外投資や企業の海外取引が増加し、経済取引の国際化が進むなか、国税庁では、租税条約等に基づく外国税務当局との情報交換を通じて、国際的な脱税や租税回避の把握・防止に取り組んでいる。

租税条約に基づく情報交換には、自動的情報交換、自発的情報交換、要請に基づく情報交換の3つの類型があり、国税庁は今回、国別報告書の自動的情報交換の実施対象国を更新し、最新データとして公表した。国別報告書には、多国籍企業グループの事業が行われる国・地域ごとの収入金額や納付税額の配分状況等に関する情報が含まれ、各国の税務当局ではこれを移転価格リスク評価に使用している。

国税庁が今回更新した「日本との間における国別報告書の自動的情報交換の実施対象国・地域」によると、2023年4月1日現在における国別報告書の自動的情報交換の実施対象は88の国・地域。前回の更新(2022年9月)からイスラエルとタイの2ヵ国が追加されている。このうちケイマン諸島やバミューダなど16ヵ国・地域については日本が受領するのみの契約で、日本からの国別報告書の提供は行っていない。

また、タイとブルガリアは、自動的情報交換を行うための守秘及び情報保護について、OECDによる審査が継続しているので、日本からの提供及び受領を停止している。自動的情報交換の対象にはこのほか、非居住者の金融口座情報(氏名・住所・口座残高など)、法定調書情報などがあり、情報交換事績もこれらの類型に分けてまとめられている。なお、租税条約を締結している国・地域は、5月1日現在で84条約等、153ヵ国・地域にのぼる。

この件については↓
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kokusai/eoi/pdf/001.pdf