特定資産買替え特例の買換供用見込みを5年に延長

国税庁は、特定資産の買換え特例に係る通達改正案を、パブリックコメント(パブコメ)の中で公表した。特定資産の買換え特例とは、法人が、その所有する棚卸資産以外の特定の資産(譲渡資産)を譲渡し、譲渡の日を含む事業年度において特定の資産(買換資産)を取得し、かつ、取得の日から1年以内に買換資産を事業の用に供した場合又は供する見込みである場合に、その買換資産について圧縮記帳の適用が受けられる制度。

この「取得日から1年以内に事業の用に供した場合」とする要件については、買換資産が土地である場合、その上に建てる建物の建設が3年以内に完了し、事業供用が確実である場合、建設着手日をもって事業供用したものとする取扱いが通達で示されている。しかし、この「建設が3年以内に完了」については、近年、建設プロジェクトの大規模化に伴い、建物等の建設期間が「3年超」となるものも多くなってきている。

今回の通達改正の背景として、国税庁は、国家戦略特区における超高層ビルや国際会議対応の多目的ホールの建設など、建設プロジェクトの大規模化に伴い、建物等の建設期間が3年超となるものも多いことや、都市再開発法の第1種市街地再開発事業で参加組合員制度を活用して建物等を建設する場合は建設工事に先駆けて土地等の取得を義務化していることを挙げている。

こうしたことから、今回の通達改正のパブコメでは、建設期間の太宗を占める「5年以内」の現状を踏まえて期間延長案を示している。具体的には、建設期間が「3年超5年以内」のものも特例の適用対象に含めるという案。ただし、「建物、構築物等の建設等に係る事業の継続が困難となるおそれがある場合には、国又は地方公共団体がその事業を代行することにより事業の継続が確実であるもの」に限られる。

5年の区切りとした理由の一つには、結果として事業の用に供されなかった場合の取戻し課税を行える更正の除斥期間の5年がある。申告書別表の改訂案も公表されたが、予定日と実際の事業供用日の記載などを求めており、継続的な対応が必要となる。なお、改正後の取扱いは2017年3月31日以後に終了する事業年度分の法人税について適用する。また、パブコメの意見募集は5月24日までとなっている。