軽減・インボイス・総額の個別通達を消基通に統合

国税庁は、「消費税法基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)に対する意見募集をしている。募集期間は6月30日まで。これは、2023年10月1日からインボイス制度が開始されることを踏まえ、軽減税率制度及びインボイス制度に係る個別通達を消費税法基本通達(消基通)に統合等することによる改正を行うこととしたもの。改正後の消基通の取扱いは、2023年10月1日から適用する。

軽減税率制度及びインボイス制度については、それぞれ制度開始前から個別通達を制定し、これらに関する法令の解釈を示してきた。また、消費税の課税事業者に義務付けられている「総額表示」に関しても個別通達において法令の解釈を示してきたが、同通達で解釈を示していた税額計算の方法がインボイス制度においては一般化されるため、「総額表示」に関する個別通達も廃止し、消基通に統合する。

統合するのは、(1)軽減通達(「消費税の軽減税率制度に関する取扱通達の制定について」(法令解釈通達))、(2)インボイス通達(「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関する取扱通達の制定について」(法令解釈通達))、(3)総額通達(「事業者が消費者に対して価格を表示する場合の取扱い及び課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置の取扱いについて」(法令解釈通達))。

また、これまで国税庁は、事業者がインボイス制度への対応を検討するために、制度を分かりやすく解説したものとして「インボイスQ&A」を同庁ホームページに掲載し、随時、事例の追加・掲載内容の改訂をしてきたが、このほど、個別通達を消基通に統合することにあわせ、これまでインボイスQ&Aにおいて示していた内容を踏まえて、消基通を一部改正した。改正内容は、Q&Aにおいて示してきた内容と異なるものではない。

主な改正内容は、イ.外貨建取引における適格請求書に記載すべき消費税額等[1-8-16]、ロ.物品切手の評価[10-1-9]、ハ.郵便切手類又は物品切手等の引換給付に係る課税仕入れの時期[11-3-7]、ニ.元請業者が作成する出来高検収書の取扱い[11-6-7]、ホ.課税仕入れに係る支払対価の額が確定していない場合の適格請求書の保存 [11-6-8]。そのほか、2023年度税制改正に伴い所要の改正をする。