空き家活用促進法成立、管理不全空き家は税優遇解除

空き家の発生を抑えて活用を促す「空き家等対策の推進に関する特別措置法の一部改正法案」(空き家活用促進法案)が6月7日の参院本会議で可決、成立した。改正法は、近年、空き家の数が増加を続け、空き家対策の強化が急務の状況を踏まえ、周囲に悪影響を及ぼす特定空き家等の除却等の更なる促進に加え、周囲に悪影響を及ぼす前の段階から空き家等の有効活用や適切な管理を確保し、空き家対策を総合的に強化するもの。

改正法の主な内容は、まず、所有者の責務を強化し、現行の適切な管理の努力義務に加え、国、自治体の施策に協力する努力義務を追加する。次に、空き家等の活用拡大のため、(1)市区町村が空き家等活用促進区域及び空き家等活用促進指針を定めた場合に接道規制や用途規制を合理化し、用途変更や建替え等を促進する。市区町村長は、区域内の空き家等の所有者等に対し指針に合った活用を要請する。

(2)財産管理人による所有者不在の空き家の管理・処分のため、市区町村長に選任請求を認め、相続放棄された空き家等に対応する。(3)市区町村長は、空き家等の管理や活用に取り組むNPO法人、社団法人等を空き家等管理活用支援法人として指定する。支援法人は、所有者等への普及啓発、市区町村から情報提供を受けて所有者との相談に対応するほか、市区町村長に財産管理制度の利用を提案する。

また、空き家等の管理の確保のため、市区町村長は、放置すれば特定空き家等になるおそれがある空き家等を管理不全空き家等として、指導、勧告する。勧告を受けた管理不全空き家等の敷地は、固定資産税の住宅用地特例(固定資産税を最大6分の1に減額する)を解除する。そのほか、特定空き家等の除却等のため、市区町村長に特定空き家等の所有者等に対する報告徴収権を付与する。

特定空き家等に対する命令等の事前手続きを経るいとまがないときの緊急代執行制度を創設し、所有者不明時の略式代執行、緊急代執行の費用徴収を円滑化するほか、市区町村長に財産管理人の選任請求権を付与する。改正法は、これらの施策によって、空き家等活用区域の指定数を施行後5年間で100区域、市区町村の取組みにより管理や除却等された管理不全空き家及び特定空き家数を、施行後5年間で15万物件などを目指す。