再調査の請求・訴訟等の納税者救済・勝訴割合6.3%

納税者が国税当局の処分に不満がある場合は、税務署等に対する再調査の請求や国税不服審判所に対する審査請求という行政上の救済制度と、訴訟を起こして裁判所に処分の是正を求める司法上の制度がある。国税庁・国税不服審判所が14日に公表した再調査の請求や審査請求、訴訟の概要によると、今年3月までの1年間(2022年度)の再調査の請求・審査請求・税務訴訟を通しての納税者救済・勝訴割合は6.3%となった。

再調査の請求の発生件数は、申告所得税等(48.5%増の536件)などが大きく増加したことから、全体では前年度から37.0%増の1533件となった。処理件数は、「取下げ等」161件、「却下」124件、「棄却」1023件、「一部取消」45件、「全部取消」18件の合計1371件(前年度比14.4%増)。納税者の主張が一部でも認められたのは計63件となり、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度(6.9%)から▲2.3ポイントの4.6%だった。

また、国税不服審判所への審査請求の発生件数は、消費税等(43.9%増の1235件)などほとんどの税目が増加したことから、全体では前年度から22.2%増の3034件となった。処理件数は、「取下げ」286件、「却下」385件、「棄却」2263件、「一部取消」153件、「全部取消」72件の合計3159件(前年度比38.4%増)だった。納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は同▲5.9ポイントの7.1%となった。

一方、訴訟となった発生件数は、法人税(▲7.1%の39件)や消費税(▲32.0%の17件)、徴収関係(▲51.4%の17件)など多くの税目が減少したことから、全体では前年度を▲8.5%下回る173件だった。訴訟の終結件数は、「取下げ等」13件、「却下」9件、「棄却」154件、「国の一部敗訴」4件、「国の全部敗訴」6件の合計186件(前年度比▲6.5%)。国側の敗訴(納税者勝訴)割合は同▲1.1ポイントの5.4%となった。

このような納税者救済・勝訴割合は、あくまでも結果論だが、全体でみると、2022年度中に再調査の請求・審査請求・訴訟を通して納税者の主張が一部でも認められたのは、処理・訴訟の終結件数の合計4716件(前年度3679件)のうち298件(同393件)で、その割合は6.3%(同10.7%)と、再調査の請求・審査請求・訴訟の全ての救済割合が減少したことから、前年度に比べて▲4.4ポイントと大きく減少している。

2022年度における再調査の請求の概要は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2022/saichosa/index.htm

同審査請求の概要は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2022/shinsa/index.htm

同訴訟の概要は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2022/sosho/index.htm