類似業種比準方式の見直しに係る基通一部改正を公表

国税庁はこのほど、2017年度税制改正において非上場株式の類似業種比準方式が見直されたことを受けて、「財産評価基本通達の一部改正について」(法令解釈通達)及び同改正通達等を解説する「あらましについて」(情報)を公表した。今回の通達一部改正では、2017年1月1日以後の相続・贈与等に適用される予定の取引相場のない株式等の評価の見直し及び森林の木立の評価についての改正内容が示されている。

通達改正の概要は、取引相場のない株式の評価について、類似業種比準方式は、(1)類似業種の株価について、現行に課税時期以前2年間平均を追加、(2)類似業種の配当金額、利益金額及び簿価純資産価額について、連結決算を反映させたものとする、(3) 配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の比重について、改正前の1:3:1から1:1:1に見直す。また、評価会社の規模区分の金額等の基準を、現在の上場審査基準に基づき、見直す。

通達等改正のあらましによると、(1)の類似業種の株価については、「最近の株価の動向を踏まえると、株価の急激な変動を平準化するには2年程度必要と考えられること及び現行でも課税時期が12月の場合には、前年平均株価の計算上、前年1月までの株価を考慮しており、実質的に2年間の株価を考慮していることから、課税時期の属する月以前2年間の平均株価を選択可能とした」と説明している。

(3)については、「1:3:1」とした場合が最も適正に株価の算定がなされるとした2000年の評価通達の改正時と同様に、上場会社のデータに基づき、個別の上場会社について、これらの要素の比重をどのようにすると最も当該上場会社の株価に近似する評価額を導くか検証作業を行った結果、「1:1:1」という比重が最も適正に「時価」が算出されると認められたことから、類似業種比準方式の算式を改正した、としている。

また、会社規模の判定基準については法人企業統計調査(財務省)等に基づき、大会社は、近年の上場会社の実態に合わせて、現在の上場審査基準を基に規模区分の金額等の基準を見直すこととし、具体的には、代表的な株式市場である東京証券取引所第一部等の上場審査基準のみならず、マザーズやJASDAQ等の新興市場の上場審査基準についても加味した上で、法人企業統計調査に基づき総資産価額等を算出した、としている。

中会社については、「Lの割合が0.9の会社」(「中会社(大)」)は、大会社に準ずる会社であって、上場を企図すればすぐに上場できる規模の会社との考えから、新興市場の上場審査基準を基に、総資産価額を算出。「Lの割合が0.75の会社」は、現行通達における取扱いと同様に、中会社(大)の基準のほぼ50%(総資産価額及び取引金額は中会社(大)の50%、従業員数はその60%)に相当する総資産価額を算出した、と説明している。

「財産評価基本通達の一部改正について」通達等のあらましにいついて(情報)は↓
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hyoka/170515/01.htm