国税不服審、2022年10月~12月分の裁決事例を公表

国税不服審判所はこのほど、2022年10月から12月分の裁決事例を同審判所ホームページ上にある「公表裁決事例要旨」及び「公表裁決事例」に追加し公表した。今回公表された裁決事例は、8事例(国税通則法関係1件、所得税法関係2件、法人税法関係1件、消費税法関係3件、国税徴収法関係1件)だった。今回は、6事例において、賦課決定処分を全部取消し又は一部を取り消しており、実務家にとっても参考となると思われる。

ここでは、太陽光発電に係る取組が事業所得を生ずべき事業には該当しないとされた事例を紹介する。同事例は、審査請求人が、太陽光発電への取組みに係る損失金額を事業所得の金額の計算上生じたものとして所得税等の確定申告をしたところ、その取組みは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務とはいえず、事業に該当しないとしたもの。

請求人は、請求人が行った太陽光発電への取組みについては営利性、有償性及び反復継続性を有し、危険負担を負いつつ太陽光発電設備等の規格・規模の検討と選定を行っているなどの諸般の要素に照らし判断すると、所得税法第27条《事業所得》に規定する事業に該当する旨、また、この取組みにおいては、将来的にシミュレーションに基づく安定的な収益を得ることが十分に期待できたと主張した。

しかし裁決は、請求人の自宅屋根に設置した太陽光設備から生じる売電収入は減価償却費に満たない小規模なもので、同設備に係る業務は営利性や物的設備に乏しく、加えて人的設備も存在しないと指摘。したがって、請求人の太陽光発電への取組みは、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務ということができず、所得税法第27条に規定する事業に該当しないとの判断を示した。

2022年10月から12月分の裁決事例は↓
https://www.kfs.go.jp/service/JP/idx/129.html