デジタル化の象徴的な取組み、官報電子化の方針決定

現在、紙で発行されている官報から、インターネットを利用して発行する「電子官報」への変更が検討されている。内閣府は7月14日、官報電子化検討会議がまとめた官報電子化の基本的考え方(案)をパブコメにして7月31日まで意見を募集している。官報は、法令の公布や公示等を行うための国の公報で、内閣府が所掌し、国立印刷局が委託を受けて官報の編集・印刷等を行っている。

例えば、毎年度の税制改正の場合、国会で法案が年度内に成立すると、法律や政省令が特別号外として3月31日付官報で公布される。ただし、紙の印刷物であるため、配送等の関係から、地域によっては官報販売所に届くのが数日遅れるのが現状だ。これに対して、現在すでに実施されているインターネット版官報は、地域による遅れがないうえ、無料で利用できるが、国会答弁によると紙の官報の付属物という位置付けになっている。

基本的考え方では、現行の官報が有している法令の正本機能について、「今後、官報を電子化した場合においても、サイバーセキュリティ対策を講ずることにより、官報に記録された真正な情報を国民に提供することが可能となることから、電子化された官報も、引き続き法令の正本機能を有することとなる」としている。電子官報の発行を進める目的は、どこからでも、すぐに、無料で閲覧・入手可能という国民の利便性向上のためだ。

ただし、インターネットを利用できない人に配慮して、官報の内容を印刷した書面の配送・販売等も行うとしている。なお、利便性向上に関しては、現在のインターネット版官報は、1ページ単位でPDFファイルが構成されているため、官報冊子単位でダウンロードできない等の問題点があることから、当面の取組みとして、国立印刷局が2023年中に冊子単位でのダウンロードを可能とする等のシステム改修を進めている。

また、官報電子化に伴い生じ得る課題への対応として、(1)サイバーセキュリティ対策、(2)システム障害等に備えた冗長性の確保、(3)改変検知のための電子署名及びタイムスタンプを活用、を挙げた。発行後の通信障害や改変、発行の遅れについて、予防策を講じるとともに、万一生じた場合の考え方を整理する。通信障害等により電子的発行ができない場合は、代替措置として書面版官報を発行する。

「官報電子化の基本的考え方(案)」の概要は↓
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000256555