2017-05-25
経済産業省が海外展開する日本企業を対象に1月~2月にかけて実施した「国際課税問題及び租税条約に関するアンケート調査」結果(有効回答数2073社)によると、過去6年以内に課税事案が発生した国・地域は、「中国」(34%)が最も多く、次いで「インド」(15%)、「タイ」(5%)が続いた。課税事案の措置内容は、「移転価格税制」(47%)が最多、次いで「恒久的施設(PE)」(16%)、「ロイヤルティ」(15%)の順だった。
「移転価格税制」に関する課税事案の上位3ヵ国のうち、「中国」では「みなし利益率による増額」(63%)が最も多かったのに対し、「インドネシア」、「インド」では「不適切な比較対象取引を用いた移転価格税制」(各32%、30%)のほうが多かった。具体的な事例をみると、「中国現地法人の利益率が不当に低いことを税務当局に主張され、みなし利益率との差について追徴課税を受けた」(中国)というものがあった。
また、「恒久的施設(PE)認定に関する課税事案の上位3ヵ国のうち、「中国」では「出張者・出向者」(53%)、「インドネシア」では「駐在員事務所」(100%)、「インド」では「子会社・第三者」(67%)が最も多かった。具体的事例をみると、「駐在員事務所がPE認定され、日本・インドネシア間の貿易に対して一定の率を乗じて計算した数値をもって、PEに係る所得として認定された」(インドネシア)というものがあった。
課税措置への対応(複数回答)では、49%と半数が「当初課税措置を受け入れた」、次いで「不服申立て」(26%)、「裁判で係争」(20%)、「相互協議」(15%)の順。税制や執行面で問題があるとされた国・地域では、「中国」(31%)、「インドネシア」(13%)、「インド」(10%)が続いた。改正・改善が望まれる点は、「税制の複雑さ、頻繁な改正」(19%)、「地域又は税務担当官による執行の差」(18%)、「税還付手続き」(16%)などが挙げられた。
租税条約の改正が望まれる国・地域では、「中国」(42%)が最多、次いで「インド」(33%)、「タイ」(15%)、「インドネシア」(10%)、「韓国」(8%)の順。租税条約の改正要望内容は、「所得」(67%)に関するものが最多、次いで「恒久的施設(PE)」(15%)、「相互協議」(7%)。「所得」の中では、「配当源泉税率の減免」(18%)、「使用料の適用範囲から『技術的役務の提供』の削除」(13%)、「使用料源泉税率の減免」(12%)と続いている。
同アンケート調査結果は↓
http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/toshi/kokusaisozei/beps/PDF/2017report_exhibit.pdf