チェーンストア協、インボイス制見直しを改正要望

例年8月末には各省庁から税制改正要望が財務省に提出されるが、一足先に各業界団体からは関係省庁への提出が行われている。7月25日には日本チェーンストア協会が、今年10月から開始されるインボイス制度についての見直しを重点事項の一つに置いた2024年度税制改正要望書を関係先に提出した上で公表した。インボイス制度見直しの背景には、制度導入に当たって事業者の実務への負担が極めて大きいことがある。

インボイス制度の今年10月からの制度導入に当たっては、電子取引等の要件整備や計算処理等に係るシステム改修、取引先等との連絡調整等に係る膨大な事務に伴い、全事業者の理解と十分な準備に対する不安はもとより、制度開始後においても多種多様で膨大な取引への適切な対応を確保しなければならないことを考慮すると、実務への負担はあまりにも大きいことから、直ちに見直すべきとしている。

具体的な見直し項目として、まず免税事業者との取引において仕入税額控除ができないことは、生産・流通の段階で発生する消費税の累積を解消するための仕入税額控除制度の趣旨に反するのみならず、今後の取引において障壁となり得るとの考えを示した。その上で、免税事業者等からの仕入に対する経過措置について、改めて全額控除を可能とする措置を講じるよう要望した。

また、銀行の振込手数料についてもインボイスの保存が仕入税額控除のため必要とされているが、一定規模以下の事業者に対しては、支払対価が1万円未満の場合に6年間は帳簿保存による仕入税額控除が認められている。そこで、「事業者の規模によって振込手数料のような少額取引にまでインボイスを必要とするのは、過剰な事務負担を強いる」として、一律にインボイス不要とし、経過措置を恒久的措置に見直すことを求めている。

さらに、免税事業者等からの仕入れにおける控除対象外消費税の取扱いに関し、特に棚卸資産について取得原価に算入し、売上時期と損金処理時期を管理していくことは、実務上困難であると指摘。したがって、固定資産の取扱いも含め、控除対象外消費税については簡便な取扱いとし、支払い年度で損金算入を認めるような緩和措置を講じることを要望している。

そのほか、重要事項として、「消費税の軽減税率制度及び総額表示義務の廃止 」、「所得税減税の実施、税制・社会保障等諸制度の整合性をもった全体見直しと所得税の非課税限度額(103万円)と配偶者特別控除の合計所得金額の引上げ」、「電気・ガス・水道料金に係る消費税率引下げ、電気料金の高騰に対する支援措置の確保」、「制度変更への対応、ならびに環境・人手不足対策のための投資に係る優遇措置等の拡充・創設」、「印紙税の廃止」の5項目を盛り込んでいる。

2024年度税制改正要望については↓
https://www.jcsa.gr.jp/public/data/0721_%E4%BB%A4%E5%92%8C%EF%BC%96%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%A8%8E%E5%88%B6%E6%94%B9%E6%AD%A3%E8%A6%81%E6%9C%9B%EF%BC%88%E7%A2%BA%EF%BC%89.pdf