不動産流通経営協会、住宅ローン減税見直し等を要望

既存住宅の流通市場は、2022年度の東日本レインズの成約統計によると、マンション、戸建てとも価格は対前年度比で上昇しているものの、成約件数はマンション、戸建てとも前年度を下回った。こうしたなか、既存住宅の売買仲介や新築販売を主に行う大手・中堅の住宅・不動産会社を会員とする不動産流通経営協会はこのほど、既存住宅流通の活性化等の観点からとりまとめた「2024年度税制改正要望」を公表した。

要望書によると、2023年度税制改正では、宅建業者が既存住宅を取得して特定増改築等を行って再販する場合の不動産取得税の軽減措置や、空き家発生の抑制等を図るための特例措置の延長、長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税の特例措置が創設されたが、住宅税制に関しては、新築住宅と既存住宅との差異が存置されたままと指摘。その上で、各種住宅税制の見直し等を中心に要望がまとめられた。

具体的な要望としては、今年末で適用期限を迎える住宅ローン減税の借入限度額の据え置き等として、買取再販住宅に適用される住宅ローン減税(借入限度額3000万円、控除期間13年)について、現状の特定増改築等の要件を維持したままの延長と、新築住宅についての住宅ローン減税の借入限度額の上乗せ措置の上限額(認定住宅5000万円)も維持したまま延長することを盛り込んでいる。

そして、住宅における税制措置の要件として求められている「新築住宅の最低床面積要件(40平方メートル)の緩和特例」を延長するとともに、増加する単身・少人数世帯や共働き・子育て世帯等多様な家族構成や生活状況等に応じた多様な住まいが柔軟に選択され、無理のない負担で住宅の確保や住替えがなされ、また若年期からの資産形成に資するよう、既存住宅でも同様の緩和を講じるよう求めている。

また、近-近、近-遠など多様な形態のテレワークを含む二拠点居住の進展や近居・隣居による介護・子育て等新しい住まい方への対応とともに、空き家・空き地問題解消や地域の活性化・住宅ストックの有効活用に寄与するため、二戸目以降の居住住宅・住宅地の取得に住宅ローン減税を適用可能とすることや、ローンを活用しない二戸目以降の居住住宅・住宅地の取得にも投資型減税の適用を認めるなどの特例措置の創設を掲げている。

そのほかでは、(1)一定の住宅用家屋についての個人買主の登録免許税の特例措置の適用期限の延長、(2)既存住宅の耐震やバリアフリーなどの各種改修工事完了住宅の固定資産税の税額減額の期限延長、(3)被相続人居住用財産の譲渡に係る3000万円特別控除に関し、相続開始時に親族と同居していた場合も適用可能とすること、などを要望事項として盛り込んでいる。

「2024年度税制改正要望」は↓
https://www.frk.or.jp/information/r06_zeisei_youbou.pdf