「インボイス制度で事業者が注意すべき事例」を公表

インボイス制度がスタートする10月1日まで2ヵ月を切ったが、国税庁では、「インボイス制度において事業者が注意すべき事例集」をホームページ上に公表し、改めて注意すべき点を喚起している。同事例集では、主に、登録の取下げ・取消しの手続きや2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)などにおいて、想定されるケースや注意すべき内容が示されている。

まず、インボイス制度開始前にインボイス発行事業者の登録を取り下げるケースでの注意点は、2023年10月1日以後に取下げはできないことがある。取消しの手続きしかできず、少なくとも10月1日から課税期間末日までの課税資産の譲渡等について、インボイスの交付義務・保存義務、消費税の申告義務が生じる。10月1日を登録日としていた場合、取下書はその前日(9月30日)までに提出する必要がある。

インボイス制度開始後に登録を取り消すケースでの注意点では、翌課税期間の初日から登録を取り消そうとするときは、翌課税期間の初日から起算して15日前の日までに届出書を提出する必要があり、同日の翌日以後の提出の場合、翌々課税期間の初日からの取消しとなることがある。例えば、個人事業者などが、来年1月1日に登録を取り消したい場合には、今年の12月17日までに取消届出書を提出する必要がある。

また、10月1日を含む課税期間の翌課税期間以後に登録申請に関する経過措置の適用により登録を行い、登録を取り消すケースでの注意点は、翌課税期間の初日から起算して15日前の日までに届出書を提出すれば登録を取り消すことができるが、登録日から2年を経過する日の属する課税期間の末日までは、基準期間の課税売上高にかかわらず、納税義務が免除されないことに留意する必要がある。

次に2割特例では、課税事業者選択届出書の提出により、10月1日前から課税事業者となる同日を含む課税期間に、インボイス発行事業者の登録を受け、2割特例の適用を受けるケースでの注意点は、10月1日を含む課税期間中に課税事業者選択不適用届出書を提出することにより、課税事業者選択届出書の効力を失効させることができるが、その課税期間中に提出しないと、その課税期間は2割特例の適用を受けることができないことがある。

2割特例の適用を受けた課税期間の翌課税期間について、2割特例の適用を受けることができず、簡易課税制度の適用を受けるケースでは、2割特例の適用を受けた事業者は、その適用を受けた課税期間の翌課税期間中に簡易課税制度選択届出書を提出することで、その翌課税期間について、簡易課税制度の適用を受けることができる。申告時に届出書を提出してもその申告分について簡易課税制度の適用を受けることはできない。

「インボイス制度において事業者が注意すべき事例集」は↓
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0023007-071.pdf