2023-08-18
10月1日から開始されるインボイス制度(適格請求書等保存方式)の下では、適格請求書発行事業者である売手は、国内において課税資産の譲渡等を行った場合、取引の相手方(課税事業者に限る)の求めに応じ、適格請求書を交付する義務が課されている。また、課税事業者である買手は、仕入税額控除の要件として、原則として、課税仕入れ等に係る帳簿及び適格請求書等の保存を要することとなる。
これらについては、10月1日以後に売手が行う課税資産の譲渡等及び買手が行う課税仕入れについて適用されることとなる。この点、同じ取引であっても、売手における売上の計上時期と買手における仕入れの計上時期が必ずしも一致しない場合がある。例えば、機械装置の販売において、売手が出荷基準により2023年9月に課税売上を計上し、買手が検収基準により2023年10月に課税仕入れを計上するといったことも生じる。
この場合、売手においては、インボイス制度の開始前に行った取引(課税資産の譲渡等)であることから、買手からその取引について適格請求書の交付を求められたとしても、その取引に係る適格請求書の交付義務はない。このため、買手においては、原則として、売手における課税売上の計上時期(課税資産の譲渡等の時期)が10月1日以後のものとなる取引から、仕入税額控除の適用を受けるために適格請求書等を保存する必要がある。
上記の例のように、売手における課税売上の計上時期(課税資産の譲渡等の時期)が2023年9月となる取引については、買手は区分記載請求書等保存方式により仕入税額控除の適用を受けることができる。なお、電気料金等のように検針日基準で売上及び仕入れを計上している場合であって、検針した期間に10月1日を含んでいたとしても、検針日により売上及び仕入れを計上している限り、10月1日前後の取引を厳密に区分する必要はない。
また、未成工事支出金及び建設仮勘定に係る課税仕入れの計上時期については、建設工事等の目的物の引渡し又は完成の日の属する課税期間の課税仕入れとすることができる。この場合、その引渡し等の日(課税仕入れを計上する日)が2023年10月1日以後であったとしても、その未成工事支出金等の基礎となる課税仕入れに含まれる10月1日前の取引については、区分記載請求書等保存方式により仕入税額控除の適用を受けることができる。