約4人に1人が適格請求書発行事業者登録の予定なし

エヌエヌ生命保険が、全国の中小企業経営者を対象に7月中旬に実施した「インボイス制度に関する意識調査」結果(有効回答数7225人)によると、インボイス制度についての認知度は、「概要を知っている」は43.8%、「名前は聞いたことがある」は27.2%で、「具体的な内容まで知っている」は23.9%にとどまった。「全く知らない」も5.1%あり、制度開始が近いものの内容を理解できている経営者は少ないと言えそうだ。

適格請求書(インボイス)を発行するための「適格請求書発行事業者」の登録の有無については、「登録している」が41.4%、「制度開始までに登録する」が11.1%と、10月からの制度開始までに半数近くが登録することが分かった。一方で、24.7%が「登録する予定はない」と回答し、約4人に1人が登録しないことが明らかになっている。業種別にみると、「登録していない」は「病院・医療機関・福祉業」(54.0%)が最も多い結果となった。

適格請求書発行事業者へ登録する理由(複数回答)は、「登録したほうがメリットが大きいと思うから」(42.5%)が最も多く、「取引を打ち切られる可能性があるから」(33.4%)、「新規の取引を敬遠される可能性があるから」(26.8%)と続いた。業種別にみると、「取引を打ち切られる可能性」は「出版・印刷関連業」(53.7%)が、「新規の取引を敬遠される可能性」は「電気・ガス・熱供給・水道業」(41.3%)がそれぞれ最も多い結果となった。

一方で、適格請求書発行事業者に登録しない理由(複数回答)は、最多が「登録しないほうがメリットが大きいと思うから」(32.4%)、次いで「業務負担が増えるから」(26.8%)「対応できる人材がいないから」(18.1%)が続いた。そのほか、「制度の内容や手続きの方法が分からないから」という回答も16.6%あり、インボイス制度に対応できる人材がおらず手続き方法が分からないことも登録していない理由の一つとみられている。

顧客企業から自身が経営している会社が適格請求書発行事業者として登録したかを確認されたかの有無は、「はい」が約4割(39.2%)で、約6割(60.8%)は現時点では確認されていない状況だった。また、インボイス制度に向けて準備していること(複数回答)は、「税理士への相談」(32.4%)や「取引先への説明・交渉」(16.7%)が多い結果となった。一方で「何もしない・何をしたらいいのか分からない」は41.4%だった。

仕入先の適格請求書発行事業者への登録状況の確認の有無は、54.9%が「いいえ」と回答し、半数以上が未確認であることが明らかになった。仕入先が適格請求書発行事業者ではない場合の対応については、「これまで通り取引を継続する」という回答が半数近く(45.6%)で、「取引条件の変更を相談する」が2割未満(18.6%)だが、「分からない」との回答も35.8%あり、今後の対応に不透明なところもある。

同調査結果は↓
https://www.nnlife.co.jp/library/pdf/company/news/2023/230817_invoicing_system.pdf