2022年度国税の滞納残高は3年連続増加の8949億円

国税庁がこのほど公表した2022年度租税滞納状況によると、今年3月末時点での法人税や消費税など国税の滞納残高が22年ぶりに増加した20年度から3年連続で増加したことが明らかになった。これは、新型コロナウイルス感染症の経済対策で特例猶予制度が適用され、滞納の新規発生が抑えられていた分が、猶予期限を過ぎて上積みされたことなどが要因。新規発生滞納額は前年度に比べ▲4.4%減の7196億円と3年ぶりに減少した。

整理済額は7104億円(前年度比2.1%増)と新規発生滞納額を下回ったため、今年3月末時点での滞納残高は1.0%増の8949億円と3年連続で増加した。ただし、今年3月までの1年間(2022年度)に発生した新規滞納額は、最も新規滞納発生額の多かった1992年度(1兆8903億円)の約38%まで減少。また、2022年度の滞納発生割合(新規発生滞納額/徴収決定済額)は前年度比▲0.1ポイント減の1.0%と低水準で推移している。

滞納発生割合は、2020年度は過去最低の0.9%、21年度は1.1%で推移。この結果、滞納残高はピークの1998年度(2兆8149億円)の約32%まで減少している。税目別にみると、消費税は、新規発生滞納額が前年度比▲9.2%減の3630億円と3年ぶりに減少したが、税目別では18年連続で最多、全体の約50%を占める。一方で、整理済額が3772億円と上回ったため、滞納残高は▲4.0%減の3409億円と、3年ぶりに減少した。

国税庁は、(1)新規滞納に関しては、全国の国税局(所)に設置している「集中電話催告センター室」での整理、(2)処理の進展が図られない滞納案件については、差押債権取立訴訟や詐害行為取消訴訟といった国が原告となって訴訟を提起して整理、(3)財産を隠ぺいして滞納処分を免れる案件については、国税徴収法の「滞納処分免脱罪」による告発で整理することで、効果的・効率的に処理している。

こうした厳正・的確な滞納整理を実施にかかわらず、今回は新型コロナの影響という特殊要因により滞納残高は3年連続で増加したわけだ。消費税が新規発生滞納額全体の5割を占めることから、消費税の滞納は全体の滞納額に影響するが、2022年度の新規発生滞納額は3年ぶりに減少した。しかし、滞納残高は、所得税(前年度比3.7%増)や法人税(同7.4%増)などが増加したため、全体では1.0%増とほぼ横ばいとなった。

2022年度租税滞納状況の概要は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/sozei_taino/pdf/sozei_taino.pdf