経産省等、イノベーションボックス税制の創設を要望

経済産業省、厚生労働省、農林水産省の3省は、2024年度税制改正において、国内で開発された知的財産から生じる所得に対する優遇税率を適用する制度(イノベーションボックス税制)の創設を要望している。これは、我が国の研究開発拠点としての立地競争力を向上し、民間企業の無形資産投資を後押しするため、民間企業の課税所得のうち、我が国で開発した知的財産に由来する所得に対して優遇税率を適用する措置を新たに創設するもの。

諸外国では2000年代より欧州を中心に、研究開発成果を知財化し、その知財を社会実装することにより得られた収益に対して優遇税率を適用する、すなわち「アウトプット」に着目した税制であるイノベーションボックス税制が導入されてきている。さらに、イノベーションボックス税制は、近年では中国や韓国、インド、シンガポール等、アジア太平洋諸国においても導入・検討が進んでいる。

制度創設の必要性について、各国政府による誘致競争が激化するなか、近年、我が国でも民間企業による研究開発拠点の海外シフトの動きが顕在化しており、我が国の研究開発拠点としての立地競争力を強化することが急務のため、我が国においてもイノベーションボックス税制を創設し、海外と比べて遜色ない事業環境を整備し、民間企業による研究開発成果の社会実装を後押しすることで、国内投資を強力に推進する必要があるとしている。

英国では 2013 年にイノベーションボックス税制を導入したが、同国担当省庁の報告によれば、同税制の適用を受ける事業者は資本コストが引き下げられ、投資促進につながり、結果として英国内への投資を10%増加させる効果が示されている。我が国においても、同税制を措置し、研究開発環境の国際的イコールフッティングを実現することで、知的財産の創出に向けた研究開発投資の促進が見込まれる、との要望の妥当性を示している。