2023-09-29
土地の所有者が、自らその土地を貸駐車場として利用している場合には、その土地の自用地としての価額により評価する。これは、土地の所有者が、貸駐車場を、一定の期間自動車を保管することを引き受けることを目的とした契約であり、あくまでも駐車場の利用という目的での貸付けにあたり、土地の利用そのものを目的とした賃貸借契約とは本質的に異なる権利関係であると考えられるためだ。
ただし、車庫などの施設を駐車場の利用者の費用で造ることを認めるような契約の場合には、土地の賃貸借になると考えられるので、その土地の自用地としての価額から、賃借権の価額を控除した金額によって評価する。この場合の賃借権の価額は、(1)地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる賃借権、(2)(1)に掲げる賃借権以外の賃借権、の区分に応じたそれぞれの価額によることになる。
(1)の賃借権は、例えば、賃借権の登記がされているもの、設定の対価として権利金や一時金の支払のあるもの、堅固な構築物の所有を目的とするものなどが該当する。その価額は、「自用地としての価額×賃借権の残存期間に応じその賃借権が地上権であるとした場合の法定地上権割合または借地権であるとした場合の借地権割合のいずれか低い割合」となる。「法定地上権割合」は、相続税法第23条に規定する割合だ。
また、自用地としての価額に乗ずる割合が、一定の割合を下回る場合には、自用地としての価額に一定の割合を乗じて計算した金額が賃借権の価額となる。例えば、自用地としての価額に乗ずる割合が、賃借権の残存期間が「5年以下」の場合で「5%」を下回る場合は、自用地としての価額に5%を乗じて計算した金額が賃借権の価額となる。同様に、賃借権の残存期間が「20年超」の場合で「20%」を下回る場合は、20%を乗じて計算する。
次に、(2)の(1)に掲げる賃借権以外の賃借権の価額は、「自用地としての価額×賃借権の残存期間に応じその賃借権が地上権であるとした場合の法定地上権割合の2分の1に相当する割合」となる。「法定地上権割合」は、相続税法第23条に規定する割合だ。また、自用地としての価額に乗ずる割合が、一定の割合を下回る場合には、自用地としての価額に一定割合を乗じて計算した金額が賃借権の価額となる。
なお、駐車場の自用地としての価額の評価は、現況により、ほとんどの場合、雑種地として評価することとなる。雑種地の価額は、その雑種地と状況が類似する付近の土地について評価した1平方メートル当たりの価額を基とし、その土地とその雑種地との位置、形状等の条件の差を考慮して評定した価額に、その雑種地の地積を乗じて計算した金額によって評価する。