2023-11-08
海外に転勤や出向をする場合は、居住者としての最後の給与支給の際に年末調整によって、源泉徴収された所得税及び復興特別所得税を精算する必要がある。日本国内の会社に勤めている給与所得者が、1年以上の予定で海外の支店などに転勤しまたは海外の子会社に出向することで、国外に居住することとなった人は、国外における在留期間があらかじめ1年未満であることが明らかな場合を除いて原則、所得税法上の非居住者と推定される。
会社からの給与だけでほかの所得がない給与所得者を前提とすると、非居住者が国外勤務で得た給与には、原則、日本の所得税は課税されないから、海外に転勤や出向をする場合には、年末調整で源泉徴収された所得税等を精算する必要がある。給与収入が2000万円超の人や主たる給与以外に一定の収入があるなど確定申告が必要な人は、納税管理人の届出をしない場合、出国するまでに確定申告(準確定申告)をしなければならない。
非居住者となる際の年末調整の方法は、毎年12月に行う年末調整と基本的には同じだ。海外に転勤や出向する給与所得者は、(1)「給与所得者の保険料控除申告書」を会社に提出し、この調整で控除する保険料は、非居住者となる日までに支払った金額を対象にして計算する。(2)今年の初めに提出した「給与所得者の扶養控除等申告書」の記載内容に変更がないかをチェックして、変更があれば異動申告書を提出する。
さらに、(3)「給与所得者の基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」も併せて会社に提出する。なお、控除対象扶養親族などになるかならないかは、出国時の現況で判断する。また、配偶者や扶養親族に所得があるときは、海外勤務となる年の1年分の所得金額を出国の時の現況で見積もって、配偶者控除や配偶者特別控除、扶養控除が受けられるかどうかの判断をする。
また、「給与所得者の配偶者控除等申告書」は、2020年分以後、「給与所得者の基礎控除申告書」及び「所得金額調整控除申告書」との兼用様式となっている。