2022年分相続税の課税割合は15年以降最高の9.6%

国税庁が公表した2022年分相続税の申告状況によると、2022年中(2022年1月1日~12月31日)に亡くなった人(被相続人)は、過去最高だった2021年(143万9856人)を上回る156万9050人だった。このうち相続税の課税対象被相続人数は、前年比12.4%増の15万858人で、課税割合は9.6%(2021年分9.3%)だった。今回の対象は、2023年10月31日までに提出された相続税額のある申告書に基づき集計している。

課税割合9.6%は、前年より0.3ポイント増加し、2015年の相続税の基礎控除引下げ以降では最も高く、相続で税金がかかるのは昨年に引き続き100人に9人強という状況となっている。また、相続財産価額から被相続人の債務や葬儀費用などを差し引き、相続開始前3年以内の生前贈与等を加算した相続税の課税価格は、20兆6840億円で前年比11.3%増加し、税額は2兆7989億円で同14.6%増加した。

被相続人1人当たりでみると、課税価格が前年比▲0.9%の1億3711万円(相続税額のない申告書に係る価格は5060万円)と微減となったが、税額は1855万円で同2.0%増加した。また、相続財産額の構成比は、「現金・預貯金等」が34.9%、「土地」が32.3%とともに3割強を占め、「有価証券」が16.3%、退職金や生命保険などが含まれている「その他」が11.4%、「家屋」が5.1%の順となっている。

前年と比べ「土地」は▲0.9ポイントと微減。「現金・預貯金等」は0.9ポイント増の微増だが、過去10年では最高の構成比となった。「現金・預貯金等」の構成比は、9年前の2013年分の26.0%(3兆2548億円)から2022年分は34.9%(7兆6304億円)と、8.9ポイント上昇。また、「有価証券」も2013年分の16.5%(2兆676億円)から2022年分は16.3%(3兆5702億円)とほぼ横ばいで推移している。

一方で「土地」の構成比は、2013年分の41.5%(5兆2073億円)から2022年分は32.3%(7兆688億円)と▲9.2ポイントも下落している。2022年分の路線価は2年ぶりに上昇していたが、「土地」の構成比は下落を続けている。つまり、相続財産に占める割合が高い土地の評価は、相続財産の課税価格が基礎控除額(「3000万円+600万円×法定相続人の数」)内でおさまるケースが多いことになる。

なお、国税庁では、あらゆる手続きが税務署に行かずにできる社会を目指し、税務行政のデジタル化を掲げてe-Taxの利用拡大に取り組んでおり、相続税申告についても、2023年度のe-Tax利用率の目標値を40%に設定して取り組んでいる。2022年度における相続税の申告のe-Tax利用件数は6万1千件で、前年度に比べ1万7千件(39.0%)増加、e-Tax利用率は29.5%と、前年度に比べ6.1ポイント上昇している。

2022年分相続税の申告事績の概要は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/sozoku_shinkoku/pdf/sozoku_shinkoku.pdf