外形標準課税、追加基準に資本剰余金を導入して判定

2024年度税制改正では法人事業税の外形標準課税の見直しを行う。外形標準課税は、2004年度に資本金1億円超の大法人を対象に導入され、2015・16年度税制改正において、より広く負担を分かち合い、企業の稼ぐ力を高める法人税改革の一環として、所得割の税率引下げとあわせて、段階的に拡大されてきた。外形標準課税の対象法人数は、資本金1億円以下への減資を中心とした要因により、導入時に比べて約3分の2まで減少している。

このような減資には、損失処理等に充てるためではなく、財務会計上、単に資本金を資本剰余金へ項目間で振り替える減資を行っている事例が多いとみられる。また、組織再編等の際に子会社の資本金を1億円以下に設定することにより、外形標準課税の対象範囲が実質的に縮小する事例も生じている。そこで、項目振替型減資に対応するためには、追加的な基準の指標として、資本金の振替先である資本剰余金に着目すべきとの指摘があった。

2024年度税制改正では、企業の稼ぐ力を高める法人税改革の趣旨や、地方税収の安定化・税負担の公平性といった制度導入の趣旨を踏まえ、中堅・中小企業のM&Aやスタートアップへの影響が生じないよう配慮しつつ、外形標準課税の適用対象法人のあり方について制度的な見直しを行う。まず、減資への対応として、現行基準(資本金1億円超)は維持しつつ、外形標準課税の対象である大法人に対する補充的な基準を追加する。

具体的には、前事業年度に外形標準課税の対象であった法人が資本金1億円以下になった場合でも、資本金と資本剰余金の合計額が10億円を超える場合には外形標準課税の対象とする。ただし、今回の見直しは、外形標準課税の対象を中小企業に広げるものではなく、改正後に新設するスタートアップや、新制度の導入前に減資した企業など、対象外の企業も課税対象とはならないとしている。

加えて、親会社の信用力等を背景に事業活動を行う子会社への対応として、資本金と資本剰余金の合計額が50億円を超える法人等の100%子法人等のうち、資本金が1億円以下で、資本金と資本剰余金の合計額が2億円を超えるものを外形標準課税の対象とする。また、今後の外形標準課税の適用対象法人のあり方については、地域経済・企業経営への影響も踏まえながら引き続き慎重に検討を行う。この見直しは2025年4月1日に施行する。