利子所得は原則、所得税等が源泉徴収され納税が完結

利子所得とは、預貯金、公社債の利子、合同運用信託、公社債投資信託、公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得をいい、利子等の収入金額(源泉徴収前の金額)が、そのまま利子所得の金額となる。利子所得は、原則、その支払を受ける際、利子所得の金額に一律15.315%(他に地方税5%)の税率を乗じて算出した所得税等が源泉徴収され、これにより納税が完結する源泉分離課税の対象となり、確定申告をすることはできない。

ただし、2016年1月1日以後に支払を受けるべき特定公社債等の利子等については、その支払を受ける際に税率15.315%(他に地方税5%)により所得税等が源泉徴収されるとともに、確定申告する際には申告分離課税の対象となるが、確定申告しないことも選択できる。ただし、特定公社債等の利子等について、確定申告をするかしないかのいずれかを選択した後は、修正申告や更正の請求において、この選択を変更することはできない。

「特定公社債」とは、国債、地方債、外国国債、公募公社債、上場公社債、2015年12月31日以前に発行された公社債(同族会社が発行した社債を除く)などの一定の公社債や公社債投資信託などをいう。また、特定公社債以外の公社債の利子のうち、2016年1月1日以後に支払いを受けるべき同族会社が発行した社債の利子で、その同族会社の判定の基礎となる一定の株主やその親族等が支払を受けるものは、総合課税の対象となる。

そして、2021年4月1日以後に支払いを受けるべき同族会社が発行した社債の利子で、その同族会社の判定の基礎となる株主である法人と特殊の関係のある個人(法人との間に発行済株式等の50%超の保有関係がある個人等)やその親族等が支払を受けるものも総合課税の対象となる。2013年1月1日から2037年12月31日までの間に支払を受ける利子等については、所得税とともに所得税の額の2.1%の復興特別所得税が源泉徴収される。

利子所得には非課税制度がある。まず、障害者等の少額貯蓄非課税制度などの非課税制度がある。この非課税制度には、障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度(いわゆるマル優)、障害者等の少額公債の利子の非課税制度(いわゆる特別マル優)があり、それぞれの元本の額が350万円までの利子等について非課税とされる。障害者等の郵便貯金の利子所得の非課税制度は、郵政民営化(2007年10月)に伴い廃止された。

次に、勤労者財産形成促進法に基づくいわゆる財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄について、両方の貯蓄の元本の額の合計が550万円までの利子等について非課税とされる制度がある。この制度を利用できる人は、勤労者財産形成促進法に規定する勤労者で一定の要件に該当する人に限られている。なお、納税貯蓄組合預金の利子、納税準備預金の利子やいわゆる子供銀行の預貯金等の利子については、非課税とされている。