2024-04-01
2024年度税制改正における所得税法等の一部改正法案及び地方税法等の一部改正法案が3月28日、参院本会議で賛成多数で可決、成立した。両法律案は、一部を除き、2024年4月1日から施行する。所得税法等の一部を改正する法律案は、賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和し、物価上昇を上回る持続的な賃上げが行われる経済の実現を目指す観点から、所得税の定額減税の実施や、賃上げ促進税制の強化等を行う。
個人所得課税では、所得税の定額減税がある。居住者の2024年分の所得税額から、居住者並びに配偶者及び扶養親族1人につき3万円を控除するが、合計所得金額1805万円以下の場合のみ対象となる。ストックオプション税制の利便性向上を図り、スタートアップが付与したものについて、年間権利行使価額の限度額を最大3600万円に引き上げる。住宅ローン控除を拡充する(2024年分につき子育て世帯の借入限度額上乗せ等)。
法人課税では、賃上げ促進税制を強化する。従来の大企業向けの措置について、税額控除率の上乗せ措置等を見直し、適用期限を3年延長。中堅企業向けの新たな措置を創設。中小企業向けの措置について、5年間の繰越控除制度を創設し、適用期限を3年延長。教育訓練費に係る税額控除率の上乗せ措置についての適用要件を緩和。子育てとの両立支援や女性活躍支援に積極的な企業への税額控除率の上乗せ措置を創設する。
さらに、戦略分野国内生産促進税制を創設し、電気自動車、半導体等を対象に、生産・販売量に応じて10年間税額控除する。交際費等から除外される飲食費の金額基準を引き上げる(1人5千円→1万円)。消費課税では、国外事業者がデジタルプラットフォームを介して国内向けに行うデジタルサービスについて、国外事業者の取引高50億円超のプラットフォーム事業者に消費税の納税義務を課す制度を導入する。
国際課税では、非居住者に係る暗号資産等取引情報の自動的交換のための報告制度を整備する。納税環境整備では、更正の請求に係る隠蔽・仮装行為に対する重加算税制度を整備。また、期限切れ租税特別措置について、住宅用家屋の所有権保存登記等に係る登録免許税の軽減措置を延長(3年)、旅行者等が入国の際に携帯等して輸入する紙巻たばこの特例措置を延長(1年)する。
そのほか、防衛力強化に係る財源確保(附則)として、2023年度税制改正の大綱及び2024年度税制改正の大綱に基づき、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置を実施するため、適当な時期に必要な法制上の措置を講ずる。
所得税法等の一部を改正する法律案要綱は↓
https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/213diet/st060202y.htm