2017-07-12
延滞税は、法定納期限までに国税が完納されなかったときに、未納額及び遅延期間に応じて課されるものだが、長期間に遡って更正処分がされた場合等には、延滞税の計算期間から一定期間を除く、いわゆる「延滞税の計算期間の特例(除籍期間)」がある。これは、税務調査の更正・決定等の時期が税務当局の事務都合で左右され、税務調査の時期が遅れた納税者にとって不利になってしまうので、これを救済するという趣旨のものだ。
税務調査は、申告期限から2~3年後に行われることが多いため、延滞税の額の計算上、原則通り、法定納期限まで遡って計算すると多額の延滞税が課せられてしまうことになる。そこで、申告期限から1年以上経過した後に修正申告や更正が行われた場合、延滞税の額の計算上、その1年を経過する日の翌日から修正申告書の提出の日又は更正通知書が発せられた日までの期間を控除する「延滞税の計算期間の特例」が設けられている。
例えば、期限内申告を行った納税者が法定納期限から3年後の調査により未納税額の指摘を受けて修正申告を行うケースがある。原則であれば、法定納期限から修正申告を行う3年間について延滞税が課せられることになる。しかし、同特例によって、法定納期限から1年間については延滞税が課されるものの、本来延滞税が課される残りの2年間は控除されることになる。ただし、修正申告が重加算税の対象となる場合は除かれる。
なお、2016年度税制改正では、期限内申告書又は期限後申告書が提出された後(当初申告後)に減額更正があり、さらにその後に増額更正や修正申告書の提出があったとき、その適用を受ける除籍期間と、その適用を受ける金額に関する規定が新設されている。除籍期間については、(1)減額更正が「職権」による場合、当初申告に係る税額の納付日の翌日から減額更正の日までの期間と、減額更正の日から増額更正等の日までの期間となる。
また、(2)減額更正が「更正の請求」による場合は、(1)の期間について、その起算日が減額更正の翌日から1年を経過する日となり、除籍期間が(1)よりも1年短くなる。一方、新設された特例の適用を受ける部分は、当初申告後、減額更正で税額が減額され、さらに増額更正がされた場合、更正等により納付すべき税額と、当初申告に係る税額から減額更正後の税額を控除した金額を比べて、少ないほうの金額は、延滞税が課されないことになる。