2024-04-11
東京商工リサーチが発表した「税金滞納倒産調査」結果によると、2023年度(4~3月)の「税金滞納(社会保険料を含む)」が一因となった倒産は82件で、前年度の24件から3.4倍に急増した。2014年度以降では2018年度の83件に次ぐ2番目の多さだが、コロナ禍以降の2020年度以降では最多を記録。コロナ禍の資金繰り支援に特例で1年間の納税猶予が認められたが、経済活動が平時に戻ると特例はなくなり、通常通りの納付が求められる。
だが、コロナ禍が収束に向かうに従い、円安、原材料や資材、光熱費の価格上昇に加え、人件費上昇などのコストアップが企業の負担になっている。このため、資金繰りに余裕を欠く企業は税金納付に資金を回せず、その結果、滞納で債権や資産の差押さえを受け、事業継続が困難になる。特に、社会保険料は労使折半で負担しており、徴収が厳しいとの声もあるが、徴収にあたっては企業に寄り添った支援も必要とみられる。
産業別は、10産業のうち、金融・保険業を除く9産業で前年度を上回った。最多が「サービス業他」の22件(前年度比175.0%増)で、3年連続で前年度を上回った。次いで、「卸売業」の13件(同160.0%増)、「製造業」の11件(同266.6%増)、「運輸業」の10件(同150.0%増)と続いた。前年度は発生がなかった「農・林・漁・鉱業」2件、「小売業」8件、「情報通信業」4件と、幅広い産業で「税金滞納」倒産が発生した。
負債額別は、1億円以上が44件(前年度比266.6%増)で、2年連続で前年度を上回った。構成比は53.6%(前年度50.0%)だった。このうち、「1億円以上5億円未満」が24件(前年度比118.1%増)で2年連続、「5億円以上10億円未満」が12件(同1100.0%増)で4年ぶりに、それぞれ前年度を上回った。また、「10億円以上」が8件で、2年ぶりに発生した。
資本金別は、「1千万円以上5千万円未満」が31件(前年度比210.0%増)で、2年連続で前年度を上回った。構成比は約4割(構成比37.8%)を占めた。次いで、「100万円以上500万円未満」が24件(前年度比200.0%増)、「500万円以上1千万円未満」が14件(同600.0%増)と続く。また、「1億円以上」(同300.0%増)と「5千万円以上1億円未満」(前年度ゼロ)で各4件と、大企業から中小・零細企業まで幅広く発生した。
同調査結果は↓
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198494_1527.html