2024-04-18
近年、海外に不動産を所有する人は少なくないが、日本の居住者は、原則として国内で生じた所得および国外で生じた所得のいずれについても、日本で課税されることとなる。したがって、日本の居住者が海外の不動産を売却したことにより得た譲渡益に対しても、国内にある不動産を売却した場合と同様に、課税されることとなる。「居住者」とは、日本国内に住所があるか、または現在まで引き続いて1年以上居所を有する人をいう。
課税される場合、外国通貨で行われた不動産の譲渡所得の金額や不動産を取得した際の取得価額の金額は、原則、その取引日における対顧客直物電信売相場(T.T.S)と対顧客直物電信買相場(T.T.B)の仲値(T.T.M)によることとされている。ただし、不動産を売却して外国通貨を直ちに本邦通貨とした場合にはT.T.Bで、本邦通貨を外国通貨として直ちに海外不動産を取得した場合にはT.T.Sで譲渡所得の計算ができる。
上記のように、居住者は、国内で生じた所得および国外で生じた所得のいずれについても日本で課税されるが、国外所得について外国の法令で所得税に相当するものが課税される場合、日本およびその外国の双方で二重に所得税が課税されることとなる。そこで、この国際的な二重課税を調整するために、一定額を所得税額から差し引くことができる。これを外国税額控除という。
ちなみに、所得税の控除限度額は、「その年分の所得税額×(その年分の調整国外所得金額/その年分の所得総額)」の算式で計算する。また、その外国所得税額が所得税の控除限度額を超える場合には、「その年分の復興特別所得税額×(その年分の調整国外所得金額/その年分の所得総額)」の算式で計算した金額(「復興特別所得税の控除限度額」)を限度として、その超える金額をその年分の復興特別所得税額から差し引くことができる。
上記の「その年分の所得税額」とは、配当控除や(特定増改築等)住宅借入金等特別控除などの税額控除、災害減免額を適用した後の所得税額をいう。なお、外国税額控除を受けるためには、不動産を売却した年分の確定申告の際に、「外国税額控除に関する明細書(居住者用)」や外国所得税額を課されたことを証する書類、国外源泉所得の金額の計算に関する明細を記載した書類などの一定の書類を添付する必要がある。