改正法基通において「功績倍率」の定義を初め明示

国税庁はこのほど、2017年度税制改正に対応した法人税関係の改正通達等を公表した。法人税基本通達関係では、組織再編税制や役員給与、確定申告書の提出期限の延長の特例が、租税特別措置法通達関係では、試験研究を行った場合の法人税額の特別控除などの見直しがそれぞれ行われた。そのうち、役員給与の損金不算入制度については、2017年度税制改正において、退職給与・事前確定届出給与・業績連動給与等が見直されている。

2017年度改正では、退職給与について、業績連動型のものは業績連動給与(改正前:利益連動給与)の損金算入要件を満たさなければ損金不算入とされたが、改正通達では、「いわゆる功績倍率法に基づいて支給する退職給与は、業績連動給与に規定する業績連動給与に該当しないのであるから、法人税法34条第1項の役員給与の損金不算入の規定の適用はないことに留意する」との項目が新設された。

ここで、注目されるのは、この新設項目の注書きにおいて「功績倍率法」という文言とその定義が示されたことだ。いわく、「本文の功績倍率法とは、役員の退職の直前に支給した給与の額を基礎として、役員の法人の業務に従事した期間及び役員の職責に応じた倍率を乗ずる方法により支給する金額が算定される方法をいう」としている。これまで、法令や通達で明文化されていなかった「功績倍率法」の文言と定義が初めて通達に示された。

また、2017年度改正では、事前確定届出給与の対象から、特定譲渡制限付株式RC(リスクトリックテッド・ストック)のうち、「業績連動型のRS」が除外されることが明確化されたが、改正通達では、定期同額給与、事前確定届出給与、損金算入できる業績連動給与にも該当しない旨が示されている。「業績連動型RS」とは、法人側が無償取得するRSの数が業績指標に応じて変動するものをいう。

そのほか、損金算入できる業績連動給与は、基本的に「有価証券報告書」に記載される金額等に基づく指標で算定される必要があるが、改正通達では、「利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標又は売上高の状況を示す指標には、有価証券報告書に記載される『連結財務諸表』に記載されるべき金額等から算定される指標が含まれる」ことを新設項目で明らかにしている。

法人税基本通達等の主要改正項目は↓
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/kaisei/170630/pdf/00.pdf