インボイス制度導入で消費税の申告件数が9割増加

国税庁が公表した2023年分の所得税、消費税及び贈与税の確定申告状況によると、2023年10月から開始されたインボイス制度の導入に伴い、2023年分の個人事業者の消費税の申告件数が、197万2千件(対前年比86.9%増)と、前年分から91万7千件、約9割増と大幅に増加したことが分かった。 また、申告納税額についても、6850億円(同9.1%増)となっており、前年分から増加している。

インボイス制度は、適用税率や消費税額を明記したインボイスが仕入税額控除の際に必要とされる消費税の新しい税額控除方式で、2023年中にインボイス発行事業者になった者は197万6千人で、そのうち期限内の申告者数は約9割に当たる174万4千人だった。また、免税事業者からインボイス発行事業者になった者は104万8千人であり、そのうち期限内の申告者数は87万5千人おり、全体の申告件数や納税額を押し上げた。

インボイス発行事業者の登録者の中には、2023年中に申告すべき取引等がないため、消費税の申告義務がない者も含まれているので、インボイス発行事業者のうち消費税の申告義務が基本的にあると考えられる者の申告状況をみてみると、その約94%が期限内に消費税の申告を行っている。例年、課税事業者のうち消費税の申告義務が基本的にあると考えられる者の期限内申告は約85~90%となっており、今回はこれを上回った。

なお、申告したインボイス発行事業者174万4千人の内訳をみると、インボイス制度開始前から課税事業者だった者が86万9千人で、免税事業者からインボイス発行事業者になった者は87万5千人。このうち、2割特例を適用した申告者数は8割強の73万4千人だった。2割特例とは、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者(課税事業者)になった者を対象に、納付税額を売上に係る消費税額の2割にできる特例だ。