再調査の請求・訴訟等の納税者救済・勝訴割合8.3%

納税者が国税当局の処分に不満がある場合は、税務署等に対する再調査の請求や国税不服審判所に対する審査請求という行政上の救済制度と、訴訟を起こして裁判所に処分の是正を求める司法上の制度がある。国税庁・国税不服審判所が公表した再調査の請求や審査請求、訴訟の概要によると、今年3月までの1年間(2023年度)の再調査の請求・審査請求・税務訴訟を通しての納税者救済・勝訴割合は8.3%となった。

再調査の請求の発生件数は、消費税等(109%増の1254件)などが大きく増加したことから、全体では前年度から62.7%増の2494件となった。処理件数は、「取下げ等」265件、「却下」157件、「棄却」1707件、「一部取消」140件、「全部取消」9件の合計2278件(前年度比66.2%増)。納税者の主張が一部でも認められたのは計149件となり、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度(4.6%)から1.9ポイント増の6.5%だった。

また、国税不服審判所への審査請求の発生件数は、消費税等(52.5%増の1883件)などほとんどの税目が増加したことから、全体では前年度から29.1%増の3917件となった。処理件数は、「取下げ」386件、「却下」298件、「棄却」1910件、「一部取消」139件、「全部取消」140件の合計2873件(前年度比▲9.1%)だった。納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は同2.6ポイント増の9.7%となった。

一方、訴訟となった発生件数は、法人税(28.2%増の50件)や相続税・贈与税(10.0%増の22件)など多くの税目が増加したことから、全体では前年度を9.2%上回る189件だった。訴訟の終結件数は、「取下げ等」17件、「却下」11件、「棄却」131件、「国の一部敗訴」8件、「国の全部敗訴」5件の合計172件(前年度比▲7.5%)。国側の敗訴(納税者勝訴)割合は同2.2ポイント増の7.6%となった。

このような納税者救済・勝訴割合は、あくまでも結果論だが、全体でみると、2023年度中に再調査の請求・審査請求・訴訟を通して納税者の主張が一部でも認められたのは、処理・訴訟の終結件数の合計5323件(前年度4716件)のうち441件(同298件)で、その割合は8.3%(同6.3%)と、再調査の請求・審査請求・訴訟の全ての救済割合が増加したことから、前年度に比べて2.0ポイント増と増加している。

2023年度における再調査の請求の概要は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/2023/saichosa.pdf

同審査請求の概要は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/2023/shinsa.pdf

同訴訟の概要は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/2023/sosho.pdf