2024-07-03
借地権とは、建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権をいい、借地権は、相続税や贈与税の課税対象になる。借地権には、(1)借地権、(2)定期借地権、(3)事業用定期借地権等、(4)建物譲渡特約付借地権、(5)一時使用目的の借地権の5種類の借地権がある。借地権を評価する場合には、(1)を「借地権」、(2)から(4)を「定期借地権等」および(5)を「一時使用目的の借地権」に区分して評価する。
まず「借地権」の価額は、借地権の目的となっている宅地が権利の付着していない自用地(他人の権利の目的となっていない場合の土地で、いわゆる更地をいう)としての価額に借地権割合を乗じて求める。この借地権割合は、借地事情が似ている地域ごとに定められており、路線価図や評価倍率表に表示されている。路線価図や評価倍率表は、国税庁ホームページで閲覧できる。
次に、「定期借地権等」の価額は、原則として、課税時期(相続または遺贈の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)において借地権者に帰属する経済的利益およびその存続期間を基として評定した価額によって評価する。ただし、定期借地権等の設定時と課税時期とで、借地権者に帰属する経済的利益に変化がないような場合等、課税上弊害がない場合に限り、一定の算式により計算することができる。
具体的には、その定期借地権等の目的となっている宅地の課税時期での自用地としての価額に、「(定期借地権等の設定時における借地権者に帰属する経済的利益の総額÷定期借地権等の設定時におけるその宅地の通常の取引価格)×(課税時期におけるその定期借地権等の残存期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率÷定期借地権等の設定期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率)」により計算した数値を乗じて計算する。
最後に、「一時使用のための借地権」の価額は、通常の借地権の価額と同様にその借地権の所在する地域について定められた借地権割合を自用地としての価額に乗じて評価することは適当ではないので、雑種地の賃借権の評価方法と同じように評価する。雑種地の賃借権の価額は、原則として、その賃貸借契約の内容、利用の状況等を勘案して評価するが、次のように評価することができる。
それは、(1)地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる賃借権(例えば、賃借権の登記がされているもの、設定の対価として権利金や一時金の支払のあるもの、堅固な構築物の所有を目的とするものなどが該当する)は、「雑種地の自用地としての価額×法定地上権割合と借地権割合とのいずれか低い割合」、(2)(1)以外の賃借権は、「雑種地の自用地としての価額×法定地上権割合×1/2」として評価するものだ。