NISA口座開設から「1年以下」は前年比3倍に

今年1月に制度改正された NISA(少額投資非課税制度)により、個人投資家の資産運用への関心は高まりを見せている。J.D.パワージャパンが、NISA口座で運用を行っている20歳から79歳を対象に実施した「NISA顧客満足度調査」結果(有効回答数5443人)によると、前年調査ではNISA口座の利用期間を「1年以下」と回答した人は約1割程度(11%)だったが、本年調査では前年比3倍の3割超(33%)と大きく増加した。

また、NISA口座開設から1年以下の利用者の投資経験年数は、「1年以下」が前年の51%から19%に大きく低下している。これは新NISAの投資枠の拡大や非課税保有期間の無期限化により、今までNISAに関心の低かった投資経験年数の長い層でもNISA口座を活用し始めていることが背景にあると考えられる。ちなみに、投資経験年数「10年超」も前年の17%から36%に倍増している。

新NISA制度への移行に伴い、旧NISA口座と新NISA口座で資産運用する金融機関を「変更した」人の割合は1割に満たず、9割超は金融機関を変更していない。また、金融機関を変更していない人たちが、その金融機関でNISA口座の利用を続けたい意向(「非常にそう思う」、「ややそう思う」の合計)について確認すると9割超と非常に高い割合となったことが分かった。

NISA口座において金融機関を変更するには、移行時期の制限や新旧両方の金融機関での手続き等の負担が存在するため利用者にとっては手間となり、心理面でのスイッチングコストが高いことが想定される。これらを踏まえると、金融機関においては顧客が最初に開設するNISA口座として選ばれることが重要であると言える。NISA口座開設の理由(複数回答)を部門ごとに見ると、その理由に違いがあることが確認された。

トップの理由として、全国系銀行部門では「その金融機関の窓口/担当者の勧め」が、対面証券部門では「NISA口座の開設が簡単」が、ネット証券部門では「NISA口座での取引手数料が安い」が挙がった。また、「NISA口座の開設が簡単」が、前年に引き続き、全ての部門において上位に挙がっている。金融機関においては顧客が容易にNISA口座を開設できるような取組みを行うことは共通して重要な要素であると言える。

NISA口座の開設理由を年代別にみると、「NISA口座に関するキャンペーン・優遇制度が充実」、「NISAに関する情報が充実」、「NISAに関する広告・宣伝がよい」、「NISAに関するインターネットでの評判がよい」が、いずれの部門においても若年層ほど高くなっている。このため、長期的な取引を見込める若年層を取り込むためには、情報発信、またWebを始めとしたマーケティング施策の高度化が有効としている。

同調査結果は↓
https://japan.jdpower.com/sites/japan/files/file/2024-06/2024_Japan_NISA_Investor_Satisfaction_Study.pdf