能登半島地震で石川・富山・新潟各県の調整率を公表

国税庁は、令和6年能登半島地震における土地等の評価の特例等を公表した。令和6年能登半島地震による災害は、「特定非常災害」に指定された。そのため、租税特別措置法の規定に基づき、「特定地域」内にある土地等(特定土地等)で、一定要件に該当し、2024年1月1日(特定非常災害発生日)において所有していたものの価額は、その取得の時の時価によらず、「特定非常災害の発生直後の価額」によることができるとした。

一定要件に該当するとは、(1)2023年2月28日から同年12月31日までの間に相続等(相続又は遺贈をいう)により取得した土地等、(2)2023年1月1日から同年12月31日までの間に贈与により取得した土地等に該当することをいう。また、「特定非常災害」とは、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律に規定する特定非常災害をいう。

「特定地域」とは、特定非常災害により被災者生活再建支援法の規定の適用を受ける地域(同項の規定の適用がない場合には、当該特定非常災害により相当な損害を受けた地域として財務大臣が指定する地域)をいい、2024年3月25日現在で、石川県・富山県・新潟県の各県内全域が該当する。また、上記の「特定非常災害の発生直後の価額」について、納税者が自分で把握することは必ずしも容易ではない。

そこで、国税庁では、特定非常災害による地価下落の状況を反映した「調整率」を、特定地域内の一定の地域ごとに定めた。「特定非常災害の発生直後の価額」は、2024年分の路線価及び評価倍率に、「調整率」を乗じることによって計算できる。なお、特定非常災害発生日以後、2024年中に相続等又は贈与により取得した特定地域内にある土地等(特定土地等)の価額も、2024年分の路線価及び評価倍率に「調整率」を乗じて計算できる。

「調整率」については、「(1-直接的要因の減価率)×(1-社会インフラ要因の減価率)×(1-経済的要因の減価率)×(1-その他の要因の減価率)」の算式により算定している。「直接的要因」は、地盤の劣化、建物損壊による環境の悪化、道路損壊による利便性の低下など、直接的な被害の程度に応じた減価。「社会インフラ要因(宅地のみ)」は、鉄道の運休、幹線道路の通行止め、水道の使用不能など、インフラの被害に応じた減価。

さらに、「経済的要因」は、経済活動が縮小することによる減価。「その他の要因」は、上記「直接的要因」、「社会インフラ要因(宅地のみ)」、「経済的要因」以外の要因。なお、「調整率」は、「特定非常災害の発生直後の価額」を算定するためのものなので、特定非常災害発生後の復旧の状況等は加味していない。また、「調整率」は、特定地域約2万1千平方キロメートルにわたって、原則として、町(丁目)又は大字単位ごとに設定している。

この件については↓
https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0024006-146.pdf