2024-07-22
1人当たり年1000円の「森林環境税」の徴収が、6月から始まった。パリ協定でのわが国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止を図るため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、2019年3月に「森林環境税」及び「森林環境譲与税」が創設された。森林環境税は、2024年度から国内に住所を有する個人に対して課税される国税で、市区町村において、個人住民税均等割と併せて1人年額1000円が課税される。
森林環境税の税収は、全額が森林環境譲与税として都道府県・市区町村へ分配される。森林環境譲与税は、市町村による森林整備の財源として、2019年度から、市町村と都道府県に対して、個人や会社などで管理される「私有林人工林面積」(55%)、「林業就業者数」(20%)、「人口」(25%)の割合による客観的な基準で按分して譲与されている。人口も交付の基準に入っているので、森林がない自治体にも交付される。
森林環境譲与税は、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律に基づき、市町村においては、間伐等の「森林の整備に関する施策」と人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の「森林の整備の促進に関する施策」に充てること、また、都道府県においては「森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用」に充てることとされており、2023年度には、総額500億円(市町村440億円、都道府県60億円)が譲与されている。
森林環境譲与税の活用額は、2019年度の譲与開始以降、着実に増加しており、2022年度には市町村と都道府県を併せて399億円となった。活用額は、2019年度96億円、20年度210億円、21年度270億円、22年度399億円、23年度(予定)537億円。取組実績としては、市町村においては、間伐等の森林整備が、2019年度の約7倍となる約43.3千ヘクタール実施されるなど、着実に取組みが進展している。
また、全ての都道府県において、市町村に提供する各種情報の精度向上・高度化、県レベルの事業支援団体の運営支援、アドバイザーの派遣、市町村職員の研修などの市町村支援の取組みが実施されたほか、全体の9割に当たる都道府県が林業の担い手対策に、7割に当たる都道府県が木材利用・普及啓発に取り組んだ。なお、森林環境税の税収は、2024年度に年間約620億円が見込まれている。