2024-07-23
青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が生じた場合には、その欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度(「還付所得事業年度」)に繰り戻して法人税額の還付を請求することができる。つまり、欠損金の繰戻しによる還付制度は、前年度に黒字だった法人が、経営悪化などで今年度赤字に陥った場合、前年度に納税した法人税の還付を受けることができるというもの。
この制度は、中小企業者等以外の法人の2022年4月1日から2026年3月31日までの間に終了する各事業年度において生じた欠損金額については適用しないこととされているが、中小企業者等以外の法人であっても、(1)清算中に終了する各事業年度の欠損金額、(2)解散等の事実が生じた場合の欠損金額、(3)災害損失欠損金額の欠損金額については、欠損金の繰戻しによる還付制度を適用できることとされている。
中小企業者等とは、普通法人のうち(投資法人、特定目的会社、受託法人を除く)、各事業年度終了の時において資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であるもの、または資本もしくは出資を有しないものだ。ただし、大法人(資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人や相互会社および外国相互会社、受託法人)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人は除かれる。
また、普通法人との間に完全支配関係があるすべての大法人が有する株式および出資の全部をそのすべての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人や、大通算法人、相互会社及び外国相互法人も中小企業者等の範囲からは除かれる。
なお、公益法人等または協同組合等や、法人税法以外の法律によって公益法人等とみなされる認可地縁団体、管理組合法人、団地管理組合法人、法人である政党等、防災街区整備事業組合、特定非営利活動法人、マンション建替組合、マンション敷地売却組合および敷地分割組合などの法人、人格のない社団等は、欠損金の繰戻しによる還付制度を適用できる中小企業者等の範囲に含まれる。
青色申告書を提出する法人の欠損金の繰戻しによる還付の適用は、(1)還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出していること、(2)欠損事業年度の青色申告書である確定申告書をその提出期限までに提出していること、(3)上記(2)の確定申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること、の要件をすべて満たさなければならない。