中小企業者等以外の法人でも適用できる欠損金の還付

青色申告書提出法人の欠損金の繰戻しによる還付制度は、中小企業者等の2022年4月1日から2026年3月31日までの間に終了する各事業年度において生じた欠損金額についてのみ適用されているが、中小企業者等以外の法人であっても、(1)清算中に終了する各事業年度の欠損金額、(2)解散等の事実が生じた場合の欠損金額、(3)災害損失欠損金額の欠損金額については、欠損金の繰戻しによる還付制度を適用できることとされている。

解散(適格合併による解散は除き、通算子法人である場合には破産手続開始の決定による解散に限る)、事業の全部の譲渡、会社更生法等の規定による更生手続きの開始など一定の事実が生じた場合で、解散等の事実が生じた日前1年以内に終了した事業年度または解散等の事実が生じた日の属する事業年度において生じた欠損金額があるときは、欠損金額を繰り戻して法人税の還付を請求することができる。

また、災害のあった日から同日以後1年を経過する日までの間に終了する各事業年度または災害のあった日から同日以後6ヵ月を経過する日までの間に終了する中間期間に生じた災害損失欠損金額がある場合には、その事業年度または中間期間開始の日前1年(青色申告の場合には、前2年)以内に開始したいずれかの事業年度の法人税額のうち災害損失欠損金額に対応する部分の金額について、還付を請求することができる。

災害損失欠損金額とは、災害欠損事業年度の欠損金額のうち、災害損失の額に達するまでの金額をいう。災害により棚卸資産、固定資産または一定の繰延資産について生じた損失の額で、資産の滅失等により生じた損失の額、被害資産の原状回復のための費用等に係る損失の額および被害の拡大または発生の防止のための費用に係る損失の額(保険金、損害賠償金等により補てんされるものを除く)の合計額となる。

なお、解散等の事実が生じた事業年度の欠損金の繰戻しによる還付の場合に制度を適用するためには、(1)還付所得事業年度から欠損事業年度までの各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出していること、(2)解散等の事実が生じた日から1年以内に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること、の2つの要件をすべて満たさなければならない。

災害損失欠損金額の繰戻しによる還付の場合の適用には、(1)還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について連続して確定申告書を提出していること、(2)欠損事業年度の確定申告書または仮決算による中間申告書を提出していること、(3)上記(2)の確定申告書または仮決算による中間申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること、の要件をすべて満たす必要がある。