土壌汚染地の評価の考え方を整理・明確化~国税庁

国税庁は、「土壌汚染地等の評価の考え方について(情報)」を公表し、土壌汚染地の評価について、現行における課税実務上の取扱いを踏まえ、改めてその考え方を整理・明確化した。それによると、土壌汚染地の評価方法については、(1)原価方式、(2)比較方式、(3)収益還元方式の3つの評価方式があるが、(2)及び(3)の方式については、標準的な評価方法とすることは難しいとの考えを示した。

その理由は、(2)の比較方式は、多数の売買実例が収集できるときは有効だが、土壌汚染地の売買実例の収集は困難、(3)収益還元方式も、汚染等による影響を総合的に検討した上で純収益及び還元利回りを決定することは困難というもの。一方、(1)の原価方式は、不動産鑑定評価において実務上認められている評価方法と同様の考え方に立脚することなどから、課税実務上の取扱いとして定着している合理的な評価方法だとしている。

土壌汚染地の価額は、「汚染がないものとした場合の価額」から、「浄化・改善費用に相当する金額」、「使用収益制限による減価に相当する金額」及び「心理的要因による減価に相当する金額」を控除した金額によって評価する。「汚染がないものとした場合の価額」は、汚染がないものとして路線価等に基づき評価した価額をいう。「浄化・改善費用」は、土壌汚染の除去措置又は封じ込め等の措置に係る費用をいう。

「浄化・改善費用に相当する金額」については、汚染がないものとした場合の価額が地価公示価格水準の8割程度とされていることとのバランスから、浄化・改善費用の見積額の80%相当額とする。なお、浄化・改善費用の見積額は、土壌汚染の除去措置又は封じ込め等の措置のうち、課税時期において最も合理的と認められる措置に基づき算定するのが相当であり、最も合理的と認められる措置であるかどうか検証することが望ましいとした。

また、「使用収益制限による減価」は、土壌汚染の除去以外の措置(封じ込め等の措置)を実施した場合に、その措置の機能を維持するための利用制限に伴い生ずる減価をいう。「心理的要因による減価」は、土壌汚染の存在に起因する心理的な嫌悪感から生ずる減価をいう。各控除額の合計額が汚染がないものとした場合の価額を上回る場合には、当該合計額は、汚染がないものとした場合の価額を限度とする。つまり0評価となる。

「土壌汚染地等の評価の考え方について(情報)」は↓
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hyoka/240705/01.htm