2024-08-05
2023年度のふるさと納税の寄附件数が約5895万件(対前年度比13.7%増)、その寄附額は約1兆1175億円(同15.8%増)となり、ともに前年度を大幅に上回り過去最高を更新したことが、総務省が公表した「ふるさと納税に関する現況調査」結果で明らかになった。ふるさと納税は、自分の生まれた故郷だけでなく、応援したいどの都道府県・市区町村にも寄附ができ、寄附金は税金の還付・控除が受けられる。
ふるさと納税は、行き過ぎた返礼品合戦の是正に向けた制度の見直し(ふるさと納税指定制度)が2019年6月から施行されたことから、同年度の寄附件数は2018年度から微増にとどまったが、2021・22・23年度は新型コロナウイルス感染拡大に伴う“巣ごもり消費”の増加や災害被災地の支援を目的とした寄附などが増えたことから、寄附件数は過去最高を更新し、寄附額は初めて1兆円を超えて4年連続で過去最高を記録している。
ふるさと納税に係る住民税控除額は約7682億円と前年度から約1.1倍に、控除適用者数は約1000万人と約1.1倍に増加し、ともに過去最高だった。ふるさと納税の寄附額は、一定上限まで原則、所得税・個人住民税から全額が控除されるわけだが、その分、寄附者が多く住む自治体ほど減収額が大きくなる。ふるさと納税に係る住民税控除の適用状況を都道府県別にみると、相変わらず「東京都」が断然トップとなった。
「東京都」の住民の控除適用者数は約186万人で、その住民税控除額は約1899億円にのぼる。次いで、「神奈川県」が約97万人で控除額は約796億円、「大阪府」が約84万人で控除額は約614億円と続き、大都市部から地方部への税流出という傾向が裏付けられるものとなっている。都市部の住民が地方に寄附すると地方財政は潤うが、一方で本来徴収できたはずの住民税が減る都市財政は苦しくなり不満が高まることになる。
市区町村別での寄附受入額をみると、トップは「宮崎県都城市」で約194億円、次いで「北海道紋別市」約192億円、「大阪府泉佐野市」約175億円、「北海道白糠町」約168億円、「北海道別海町」約139億円と続いた。なお、2019年に取り入れた新制度は、返礼品の調達費を寄附額の3割以下、募集に係る経費を5割以下に抑えるよう求めているが、2022年度は、全団体で経費は、調達費27.1%など計48.6%だった。
また、確定申告が不要なサラリーマンなどの給与所得者等が、地方団体5団体以内でふるさと納税を行う際に、各ふるさと納税先に特例の適用に関する申請書を提出することを要件に確定申告を行わなくても済む「ふるさと納税ワンストップ特例制度」は、利用した寄附件数が2048.2万件(前年度比17.8%増)、その寄附額も3515.1億円(同18.7%増)と件数、寄附額ともに大幅に増えている。
「ふるさと納税に関する現況調査結果」は↓
https://www.soumu.go.jp/main_content/000960659.pdf