災害を受けたときに納税の猶予を受けられる国税は

納税者が災害により被害を受けた場合には、一定の国税について納税の猶予を受けることができる。この制度には、災害により相当な損失を受けた場合の納税の猶予と災害等を受けたことにより納付が困難な場合の納税の猶予がある。「災害により相当な損失を受けた場合の納税の猶予」を受けられるのは、災害により全積極財産のおおむね20%以上の損失を受けたケースが該当する。

納税の猶予を受けられる国税は、(1)災害がやんだ日以前に課税期間の満了した所得税または法人税や災害がやんだ日以前に取得した財産に係る相続税または贈与税で、納期限がその損失を受けた日以後に到来するもののうち、猶予申請の日以前に納付すべき税額の確定したもの、(2)災害がやんだ日の属する月の末日以前に支払われた給与等の源泉所得税等で法定納期限がまだ到来していないもの。

さらに、(3)災害がやんだ日以前に課税期間が経過した消費税で、納期限がその損失を受けた日以後に到来するもののうち、猶予申請の日以前に納付すべき税額の確定したもの、(4)予定納税に係る所得税や中間申告に係る法人税、消費税で、納期限がその損失を受けた日以後に到来するものが該当する。上記(1)から(3)の納税の猶予期間は、損失の程度により、納期限から1年以内。(4)の猶予期間は、最長で確定申告書の提出期限までとなる。

また、「災害等を受けたことにより納付が困難な場合の納税の猶予」は、災害その他やむを得ない理由に基づき、国税を一時に納付することができないと認められる場合には、税務署長に申請をすることにより、納税の猶予を受けられるというもの。この納税の猶予を受けるためには、原則として猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供が必要だ(猶予金額が100万円以下、猶予期間が3ヵ月以内または特別の事情がある場合は不要)。

納税の猶予期間は、原則として1年以内の期間に限るが、猶予期間内に納付ができないやむを得ない理由がある場合は、既に認められている猶予期間と合わせて2年を超えない期間内で、申請により猶予期間の延長を受けられる。したがって、同一の災害を理由に、災害で相当な損失を受けた場合の納税の猶予と災害等を受けたことにより納付が困難な場合の納税の猶予およびその猶予期間の延長で、最長3年間の猶予が受けられることになる。