経産省、中小企業経営強化税制に上乗せ措置の創設等

経済産業省は、2025年度税制改正要望を公表した中で、中小企業の成長を後押しし、中堅企業への成長ポテンシャルが高い売上高が100億円を超える中小企業(100億企業)の創出を推進するため、中小企業経営強化税制(即時償却又は税額控除(最大10%))を拡充し、100億企業を目指す中小企業に対する上乗せ措置の創設等を行うとともに、適用期限の2年間の延長を求めた。

売上100億円超の中小企業(100億企業)は高いレベルで外需と内需を取り込み、収益を上げて生産性向上(イノベーション)を図り、賃上げを実現し、人口減少社会においても、地域経済の好循環を先導する存在だ。経済成長を実現する上で、各地域に「100億企業」のような成長中小企業を創出することが重要となる。さらに、100億企業は中堅企業へのパスになるが、現状4500社程度と推計され、政策による強力な後押しが必要とした。

次に、地域経済を牽引する中堅・中核企業の成長促進を通じた強靱な産業基盤の構築に向けては、地域経済への波及効果が特に高く期待できる事業の促進を強化すべく、地域未来投資促進税制(通常は、特別償却(40%)又は税額控除(4%))を拡充し、意欲ある自治体が地域の特性を踏まえて戦略的に定める「重点促進分野(仮称)」における設備投資への優遇措置の創設と適用期限の2年間の延長を求めた。

また、産業用地に対するニーズが高まる中で用地整備を迅速化するため、自治体による用地整備と同様に、自治体と連携した民間事業者による用地整備においても、地権者が土地を譲渡した際の売却益の一部について所得控除を設ける産業用地整備促進税制の創設を要望。 スタートアップに対する資金供給を促す観点から、エンジェル税制では、個人投資家による更なる利活用を拡大するため、再投資期間(現行1年)の複数年に延長を求めた。

事業承継税制の特例措置は、事業承継時の相続税・贈与税負担を実質ゼロにする時限措置(法人版:2018年度抜本拡充、個人版:2019年度新設)だが、事業承継税制の特例措置の適用期限が到来するまでの間、本税制を最大限活用できるよう、役員就任要件の見直し等を行い、また、本税制の適用期間における事業承継の取組等も踏まえ、円滑な事業承継の実施のために必要な措置について検討することを要望した。

そのほか、人手不足や物価高騰など引き続き厳しい経営環境において、中小企業における成長や規模拡大を促進するとともに、持続的な賃上げへの好循環を生み出すため、中小企業投資促進税制(特別償却30%又は税額控除(7%))を延長するとともに、中小企業軽減税率(所得800万円まで、法人税率を19%→15%に軽減)を延長することも要望事項とした。

経産省の2025年度税制改正要望の概要は↓
https://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2025/pdf/03.pdf