2024-09-25
国税庁は、年末調整手続きの電子化で業務の効率化ができるとして、従業員・勤務先双方のメリットを掲げて年末調整手続きの電子化を勧めている。これまでの年末調整手続きは、(1)従業員が、保険会社、金融機関、税務署等から控除証明書等を書面(ハガキ等)で受領、(2)従業員が、保険料控除申告書又は住宅ローン控除申告書に、(1)で受領した書面(ハガキ等)に記載された内容を転記の上、控除額を計算し記入する。
さらに、(3)従業員(給与等の支払いを受ける人)が保険料控除申告書及び住宅ローン控除申告書など、年末調整の際に作成する各種申告書(「年末調整申告書」)を作成し、控除証明書等とともに勤務先(給与等の支払者)に提出する、(4)勤務先が提出された年末調整申告書に記載された控除額の検算、控除証明書等の確認を行った上で、年税額を計算する、という流れで進められていた。
年末調整手続きが電子化された場合は、(1)従業員が、保険会社等から控除証明書等を電子データで受領、(2)従業員が、国税庁ホームページ等からダウンロードした年末調整控除申告書作成用ソフトウェアに、住所・氏名等の基礎項目を入力し、(1)で受領した電子データを自動入力、控除額の自動計算をして年末調整申告書の電子データを作成、(3)従業員が、(2)の年末調整申告書データ及び(1)の控除証明書等データを勤務先に提供。
そして、(4)勤務先が、(3)で提供された電子データを給与システム等にインポート(自動入力、控除額の自動計算)して年税額を計算することになる。年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(年調ソフト)とは、年末調整申告書について、従業員が控除証明書等データを活用して簡便に作成し、勤務先に提出する電子データ又は書面を作成する機能を持つ、国税庁が無償で提供するソフトウェアのこと。
年末調整手続きの電子化により、従業員は、これまでの手書きによる手続き(年末調整申告書の記入、控除額の計算など)を省略することができ、年末調整申告書の作成を簡素化することができる。また、書面で提供を受けた控除証明書等を紛失した場合は、これまでは保険会社等に対し、再発行を依頼しなければならなかったが、その手間も不要となるなどの多くのメリットがある。
一方、勤務先は、従業員が年調ソフトで作成した年末調整申告書データを利用することにより、控除額の検算が不要となり、また、控除証明書等データを利用した場合、添付書類等の確認に要する事務が削減される。さらに、従業員が年末調整申告書作成用のソフトウェアを利用して控除申告書を作成するため、記載誤り等が減少し、従業員への問合せ事務も減少することが期待されるなどのメリットがある。
国税庁の「年末調整手続きの電子化」のパンフレットは↓
https://www.nta.go.jp/users/gensen/nenmatsu/pdf/0022007-120.pdf