フードバンクへ食品を提供した場合の取扱い

「食品ロス」とは、食べられるのにも関わらず捨てられてしまう食品のことで、環境や経済にとって大きな問題となっている。令和4年度の農林水産省及び環境省推計によると、日本における年間の食品ロス量は約472万トンにのぼり、そのうち売れ残りや食べ残しなど、事業活動によって発生する「事業系食品ロス」は236万トン(50%)にも達している。内訳として、食品製造業117万トン、食品卸売業10万トン、食品小売業49万トン、外食産業60万トンが発生している。
 
このような食品ロスを削減するため、食品リサイクル法に基づき、食品廃棄物等の発生抑制に向けた取組みが勧められており、その1つにフードバンク活動の積極的な活用がある。
フードバンクは、野菜や果物などの食品の提供を通じて、経済的に困難な状況にある人々を支援している。売れ残りなどの廃棄予定の食品をフードバンクが無償で回収する場合、それは実質的に商品廃棄とみることができ、倉庫代や廃棄費用を削減できるというメリットがある。
また、税法上では、法人が食品を寄附した場合、一般の寄附金として一定の限度額までしか損金算入ができないが、このように実質的に商品廃棄として行われるものであれば、その提供に要する費用を、提供時の損金の額に算入することが認められている。
 
損金に算入するためには、農林水産省が公表する「フードバンク活動における食品の取扱い等に関する手引き」を参考に、企業とフードバンク間で、提供食品の品質確保・管理に関する事項や転売等の禁止に関する事項などのルールを定め、合意書を取り交わす必要がある。特に次の点に留意が必要である。
1 食品の提供は、社内ルール等に従って廃棄予定の食品をフードバンクが回収し、実質的に商品の廃棄処理の一環で行われる取引であること
2 合意書に、提供した食品の転売禁止、その食品の取扱いに関する情報の記録及び保存、結果の報告などのルールを定めてあること
3 提供した食品が目的外に使用されないこと
4 提供した食品の使途が確認できること
 
なお、商品廃棄のケース以外でも、例えば、広告宣伝のための食品提供や、不特定多数の被災者を支援するために提供する場合なども、提供に要する費用を損金算入することができる。
 
(参考) 国税庁ホームページ「フードバンクへ食品を提供した場合の取扱い」

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/20/11.htm