2024-11-12
国家公務員の旅費制度が約70年ぶりに見直され、令和7年4月に施行される予定である。この改正は、デジタル化の進展やパック旅行の利用など、出張の実態に即した制度運用を目指し、国費の適正な支出や事務負担の軽減を図るものである。具体的には、宿泊料の支給方法が定額から実費(上限付き)に変更されるほか、旅行命令簿や旅費請求書の様式が廃止される点が大きな特徴である。
税務調査において旅費規程が現実の業務実態に合わないと判断された場合、企業が従業員に支給する旅費が「過大」とみなされ、所得税が課されるリスクがあるため、この改正には注意する必要がある。税務調査では、国家公務員の旅費制度や同業他社の規程との比較により過大と判断されるケースもあるため、今回の改正を契機に、企業の業態や役職・職種に合った適切な旅費規程を策定することが求められる。特に、定額から実費に変更している点は注意が必要であり、日当の額にも影響を与えるものと考えられる。
改正の概要
1 旅費の計算等に係る規定の簡素化
・旅行に要する実費を弁償するためのものとして、旅費の種類及び内容に係る規定を簡素化する。宿泊料は、定額支給方式から実費弁償方式(上限付き)に変更する。
・デジタル化の進展を踏まえ、旅行命令簿及び旅費請求書の様式を廃止する。
2 旅費の支給対象の見直し
・出張や勤務の実態に応じて、自宅発の出張に係る旅費の支給を可能とする。
・旅行者に対する旅費の支給に代えて、旅行代理店等に対する直接の支払いを可能とする。
3 国費の適正な支出の確保
・旅費法の規定に違反して旅費を受給した旅行者等に対して旅費の返納を求めるとともに、旅行者の給与等からの控除を可能とする規定を新設する。
・同法の適正な執行を確保するため、財務大臣による各庁の長に対する監督規定を新設する。
(参考)
財務省ホームページ「ファイナンス令和6年7月号」
https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202407/202407g.pdf
財務省ホームページ「ファイナンス令和6年10月号」
https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202410/202410e.pdf