2024-11-19
政府は、2020年からフリーランスの保護ルールの整備を行ってきたが、今回、個人であるフリーランスと組織である発注事業者の間における交渉力などの格差、それに伴うフリーランスの取引上の弱い立場に着目し、フリーランスが安心して働ける環境を整備するために本法を制定した。多種多様な業界で活躍しているフリーランスとの業務委託取引について、「取引の適正化」と「就業環境の整備」の2つの観点から、発注事業者が守るべき義務と禁止行為を定めている。
対象となる事業者は、フリーランス(特定受託事業者)と発注事業者(業務委託事業者又は特定業務委託事業者)であり、業務委託の当事者(受託者、委託者)であること、従業員の使用についての要件が定められている(法2)。対象となる取引は、発注事業者からフリーランスに対する「業務委託」に係る取引、すなわち事業間取引(BtoB)における委託取引に適用される。
「業務委託」とは、事業者がその事業のために他の事業者に給付に係る仕様、内容等を指定して、物品の製造、情報成果物の作成又は役務の提供を委託することをいい、業種・業界の限定はなく、発注事業者からフリーランスへ委託する全ての業務が対象となる。法律の規制は、「取引の適正化」と「就業環境の整備」であり、適用される義務と禁止行為は次のとおりとなっている。
取引の適正化については、義務として書面等による取引条件の明示(法3)、期日における報酬支払(法4)が、発注事業者の禁止行為(法5)として受領拒否をはじめ7項目が定められている。就業環境の整備では、募集情報の的確表示(法12)、育児介護等と業務の両立に対する配慮(法13)、ハラスメント対策に係る体制整備(法14)、中途解除等の事前予告・理由開示(法16)が義務とされている。
義務及び禁止行為規定の適用対象者については、発注事業者の種別(業務委託事業者又は特定業務委託事業者)や業務委託を行う期間に応じて区分されている。本法に違反する事実がある場合、フリーランスは所管省庁(公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省)に対しその旨を申し出ることができるほか、取引上のトラブルについて、弁護士に相談できる窓口として「フリーランス・トラブル110番」が設置されている。
(参考)特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/law_freelance.html