下請取引の適正化について関係事業者団体に要請

公正取引委員会及び経済産業省は11月15日、関係事業者団体約1,700団体に対し、下請取引の適正化について要請した。
要請の具体的な内容は、政府の推進する「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針、約束手形の現金化までの期間短縮の推進、フリーランスと発注事業者間の取引適正化に向けた取組」への留意、推進と「親事業者の遵守すべき事項」の周知徹底となっている。
 
「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」は、他のコストに比べ価格転嫁率が低く特に課題のある労務費の円滑な転嫁を進めるため、業界ごとの労務費に係る実態を踏まえて令和5年11月に策定・公表されたもので、公正取引委員会では「令和6年度価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査」を実施しており、調査結果の公表が予定されている。
 
「約束手形の現金化までの期間短縮の推進」は、「手形が下請代金の支払手段として用いられる場合の指導基準が業種を問わず60日とされた」もので、公正取引委員会では、令和6年11月1日以降、親事業者が下請代金の支払手段として、手形期間が60日を超える長期の手形を交付した場合、割引困難な手形に該当するおそれがあるとして、その親事業者に対し、指導を行うこととしている。
 
「フリーランスと発注事業者間の取引適正化に向けた取組」は、令和6年11月1日より施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)に関するもので、同法では、個人として業務委託を受ける特定受託事業者(フリーランス)と企業などの発注事業者の間の取引の適正化等を図るため、発注事業者に対し、フリーランスに業務委託した際の取引条件の明示等を義務付け、受領拒否や報酬の減額などを禁止している。公正取引委員会及び中小企業庁は、フリーランスに係る取引の適正化が図られるよう、迅速かつ適切な法執行を行っていくこととしている。
また、「親事業者の遵守すべき事項」は、親事業者の義務、親事業者の禁止行為の遵守となっている(下請代金支払遅延等防止法)(下請法)。
 
親事業者の義務は、(1)書面(注文書)の交付及び書類の作成・保存義務、(2)下請代金の支払期日を定める義務及び遅延利息の支払義務となっており、親事業者の禁止行為は(1)受領拒否、(2)下請代金の支払遅延、(3)下請代金の減額、(4)返品、(5)買いたたき、(6)物の購入強制•役務の利用強制、(7)報復措置、(8)有償支給原材料等の対価の早期決済、(9)割引困難な手形の交付、(10)不当な経済上の利益の提供要請、(11)不当な給付内容の変更・やり直しとなっている。
下請法違反の行為が確認された場合は、公正取引委員会から勧告や指導を受ける可能性があり、違反行為によっては刑事罰の対象にもなり得るため、十分留意することが必要である。
 
(参考)(令和6年11月15日)下請取引の適正化について

https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/nov/241115/nenmatuyousei.html