第一回経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合

政府税制調査会は11月13日、第1回経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合(座長:岡村忠生京都大学名誉教授)を開催した。
 
同専門家会合は、第3回政府税制調査会総会で、今後の総会で扱うことが想定されるテーマについて、議論の素材を整理するため、「税制のEBPMに関する専門家会合」、「活力ある長寿社会に向けたライフコースに中立な税制に関する専門家会合」とともに設置・開催することが決まったものである。
 
第1回の会合では、財務省から「税務手続のデジタル化」、国税庁から「税に対する公平感を大きく損なうような行為への対応」について説明が行われた。
財務省の「税務手続きのデジタル化」については、大きく、1.経済社会のデジタル化と行政、2.経済社会のデジタル化への対応について説明が行われました。さらに、1.経済社会のデジタル化でOECDにおける議論の方向性について説明が行われ、2.経済社会のデジタル化への対応で取引から会計・税務までのデジタル化(デジタルシームレス)について、資料情報の活用について、国境を越えたEC取引に係る適正な課税に向けた課題について等の説明が行われた。
 
1.経済社会のデジタル化では、国税庁の「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2023-」の考え方のベースとなったOECDにおける議論の方向性について説明が行われた。
「OECDにおける議論の方向性」では、過去20年間のOECDの税務行政のトレンドが、焦点をあてる対象が「申告情報」から「事業者の日常業務、第三者」へ、手段・行うことが「税務調査」から「日常業務に税務が組み込まれるような環境整備、第三者の情報も活用した新たな納税者サービスの提供」へ大きく変わってきていることが説明され、OECD「税務行政3.0」(2020)、OECD「制度設計による税務コンプライアンス」(2014)、OECD「シームレスな税務に向けて」(2022)の概要と第三者の有する情報の交換・連携ついて説明が行われている。
 
2.経済社会のデジタル化への対応 取引から会計・税務までのデジタル化(デジタルシームレス)についてでは、上記のOECDの議論の方向性を受け、日本でも長期的な方向性としては、事業者が取引先等と相互に行うやり取りが可能な限りデジタルデータにより行われ、人の手を介さないで自動処理される環境を目指すべきと考えられるとし、証憑に着目したデジタルシームレスと帳簿に着目した優良な電子帳簿制度について必要な検討を続けていくことが説明されている。
 
(参考)第1回 経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合(2024年11月13日)資料一覧

https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/digital-noukan/2024/6digital-noukan1kai.html