2024-12-13
でんさいネット(一般社団法人全国銀行協会が設立した電子債権記録機関「株式会社全銀電子債権ネットワーク」の通称)は11月18日、インターネットバンキング(IB)契約がなくてもでんさいを利用できる新サービス「でんさいライト」をリリースした。
政府は2026年までに紙の手形・小切手の利用廃止を決定しており(※)、一般社団法人全国銀行協会では、「手形・小切手機能の『全面的な電子化』に関する検討会」で「手形・小切手機能の全面的な電子化に向けた自主行動計画」を策定、改訂し、2026年度末までに電子交換所における交換枚数(手形・小切手)をゼロにする目標を達成すべく活動を行っている。
紙の手形・小切手と同等の機能を持つ電子記録債権には、株式会社全銀電子債権ネットワーク(通称 でんさいネット)が取り扱う電子記録債権「でんさい」があり、2023年年末時点の利用契約件数は約67万件となっており、普及が進んできている。
しかし、「でんさい」を利用するためには、いずれかの金融機関のIB契約が必要となっており、IBを提供していない金融機関の取引先や、IBの基本手数料等の負担がネックになっている事業者においては利用が進みにくいという問題があった。
この問題に対応するため、でんさいネットでは、IB契約がなくても手軽に利用できる新チャネル「でんさいライト」の開発を進めていた。
本年11月1日からは、下請代金を手形等で支払う場合の支払サイトについて、業種を問わず60日以内とすることを徹底する旨が規定され、適用されている。
これは、経済産業省が、令和6年4月30日に公正取引委員会が手形等の指導基準について、手形等の交付から満期日までの期間を120日から60日に見直したことを踏まえ、下請中小企業振興法第3条第1項に基づいて経済産業大臣が定める「振興基準」を改正(令和6年11月1日施行)したことによる措置ですが、紙の手形・小切手の廃止に向けた対応でもある。
大手都市銀行では、三井住友金額が既存の顧客向けの新たな紙の手形・小切手の発行を来年9月末で終了、みずほ銀行は新たな発行を2026年3月末で終了し、決済の手続きは2027年3月末までに終了、三菱UFJ銀行も2026年3月までに新たな発行を終了する予定としていることもあり、対応方法の一つとして検討しておくとよいでしょう。
(※) 2023年6月9日に「デジタル社会の実現に向けた重点計画」において、決済については、法人インターネットバンキングの利用促進や手形・小切手の電子化に向けた取組みを通じて企業間決済のデジタル化の着実な進展を図りつつ、関係事業者による取組みを後押しする、と閣議決定。
(参考)でんさいライトのリリースのお知らせ
https://www.densai.net/densai-light/info/20241118-9870/
(参考)手形・小切手機能の「全面的な電子化」に向けたでんさいネットの取組みについて
https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/abstract/council/tegata_denshi/tegata_denshi2021_15_4.pdf