2024-12-19
国税庁は11月29日、「令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」を公表した。
所得税調査等については、調査対象者の選定にAIを活用するなど、効率的に調査を行った結果、申告漏れ所得金額の総額は9,964億円(前年対比110.2%)、追徴税額の総額は1,398億円(同102.2%)と過去最高になっている。実地調査については、調査件数は前年から1,222件増加の47,528件、非違件数は40,131件、追徴税額の総額は1,066億円、1件当たりの追徴税額は224万円と増加している。簡易な接触は、申告漏れ所得金額の総額4,448億円、1件当たりの申告漏れ所得金額80万円と増加している。
消費税(個人事業者)の調査等については、調査等合計の追徴税額の総額は423億円(同106.8%)と過去最高になっている。実地調査については、調査件数は前年から1,063件増加の26,576件、非違件数は22,014件、追徴税額の総額は359億円、1件当たりの追徴税額は135万円と増加している。簡易な接触は、接触件数93,919件、非違件数55,533件、追徴税額の総額63億円と増加している。
また、主な取組として、富裕層、インターネット取引を行っている個人に対する調査などが挙げられている。有価証券・不動産等の大口所有者、経常的な所得が特に高額な人、海外投資等を積極的に行っている個人など、いわゆる富裕層に対して、資産運用の多角化、国際化が進んでいることを念頭に調査が実施されている。調査の結果、申告漏れ所得金額の総額は665億円、1件当たりの追徴税額は707万円となり、実地調査(特別・一般)の275万円に比べ2.6倍となっている。特に、海外投資等を行っている富裕層に対する調査では、申告漏れ所得金額の総額は267億円、1件当たりの追徴税額は1,290万円となり、実地調査に比べ4.7倍となっている。
インターネット上のプラットフォームを介して行うシェアリングエコノミーなどに係る取引や暗号資産(仮想通貨)等の取引を行っている個人に対しては、資料情報の収集・分析を行い積極的に調査が実施されており、暗号資産等取引を行っている個人に対する調査の1件当たりの追徴税額は662万円と、実地調査に比べ2.4倍となっている。
(参考)「令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/shotoku_shohi/index.htm