国税庁 インボイスの新規開業者向けFAQ公表

国税庁は、インボイス制度特設サイトに新規開業者向けの特設ページを開設し、インボイス登録を行う事業者の多くを占める新規開業者向けに、インボイス制度等の留意点をまとめた「新たに事業を開始した方向けFAQ」を公表した。
 
今回公表されたFAQは大きく、「インボイス発行事業者の登録を受けた方ができること・やること」「新たに事業を開始した事業者の方の登録は?」「「新たに事業を開始した」とは?」「相続により事業を承継した場合は?」「法人成りした場合は?」について解説が行われており、個人事業者向けに17問、法人向けに8問について解説が行われており、新たに事業を開始した場合の登録方法等7問が個人・法人共通のFAQとなっている。
 
「新たに事業を開始した」とは?では、新たに事業を開始したことの意義等について解説されており、「新たに事業を開始した」とは、「国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した」ことで、「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した」とは、「課税資産の譲渡等を開始した」ことだけでなく、当該取引を行うために必要な事務所等の賃貸借契約の締結、資材等の課税仕入れ等の準備行為を行ったことも含まれることが示されている。
 
一度事業をやめた個人事業者が、また新たに事業を開始した場合については、事業を開始した課税期間の開始の日の前日まで2年以上にわたって課税資産の譲渡等又は課税仕入れ等がなければ、新たに事業を開始したものとして取り扱われるものとされている(個人問10)。
また、「新たに事業を開始した」かどうかの判定は、業態ごとに行うものではないため、個人の免税事業者が課税期間の途中で業態を変更(コンサルタント業から動画配信業など)した場合でも、新たに事業を開始したことにならず、免税事業者として申請した登録希望日からインボイスの登録を受けることになる(個人問11)。
 
事業開始予定については、新たに事業を開始したことに関して、インボイス発行事業者の登録を受けることができるのは事業者に限られるため、まだ事業を始めていない(将来始める予定の)場合は登録申請を行うことはできないとした(個人問12)。
 
法人については、法人設立登記手続に時間を要し、法人の設立初年度は事業活動を全く行っておらず、2期目にインボイス発行事業者の登録申請を行ったケースについては、2期目において新たに事業を開始したものとして、登録を受けることができるとした(法人問7)。
 
事業開始前に行った設備投資に係る仕入税額控除については、「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」とは、課税資産の譲渡等を開始した日のみではなく、事務所等の賃貸借契約の締結や資材等の課税仕入れ等の事業に必要な準備行為を行った日も含まれる。そのため、課税資産の譲渡等に係る事業を行うために設備投資を行った場合は、その時点で事業を開始したと考えられるとした。例えば、新たに事業を開始したものとして課税期間の初日に遡ってインボイス発行事業者の登録を受けた場合、課税期間の初日から課税事業者となるため、そうした設備投資もインボイスの保存により仕入税額控除を適用できることを示した(個人13問/法人8問)。
 
その他、相続でインボイス発行事業者の事業を承継した場合や、個人事業者が法人成りした場合のインボイス対応等が示されているため、確認しておくとよい。
 
(参考)新たに事業を開始した方向けインボイス制度の留意点

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_sinkijigyousha.htm