会計ソフトの利用状況等の記載について

我が国においては、2021年(令和3年)9月にデジタル社会実現の司令塔としてデジタル庁が発足し、社会全体でデジタル社会の実現に向けて取り組んでいくこととされている。現在、資金決済関係ではキャッシュレス決済、企業間決済のデジタル化、手形・小切手機能の電子化、税務関係では国税の電子申告(e-Tax)の普及及び定着、電子帳簿保存法の改正、インボイス制度の導入など、デジタル化の影響から企業を取り巻く環境は急速かつ大きく変化している。
 
国税庁が2023年(令和5年)6月に公表した「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2023」においては、事業者の取引全体のデジタル化、会計・経理全体のデジタル化等を強力に推進することは、政府全体として取り組む重要な課題の一つであることを挙げている。
 
具体的には、事業者が日頃行う事務処理について、一貫してデジタルで完結することを可能とすることにより、事業者は単純誤りの防止による正確性の向上や事務の効率化による生産性の向上等といった大きなメリットを享受することが期待できる。
 
経済取引と業務がデジタル化され、税務処理も含めて一貫して効率的にデジタル処理できる環境を整備することにより、事業者の正確性向上等を実現するとともに、結果として他の事業者のデジタル化も促され税務手続も業務も更なるデジタル化が進むという、“デジタル化の推進が更なるデジタル化につながる好循環”を生み出すことで、社会全体のDX推進につながり、社会全体にデジタル化のメリットが波及することが期待される。
 
国税庁では、事業者のビジネスプロセス全体をデジタル化するという視点に立ち、取り組みの先には社会全体のDX推進にも貢献するという社会的な意義が存することも念頭に置きながら、事業者の業務のデジタル化推進に取り組んでいくとしている。
 
国税庁においては、今後における事業者のデジタル化促進に向けた各種施策の参考に資するものとして、所得税等の確定申告書や法人税等申告に係る法人事業概況書の作成に当たっては、以下の項目のとおり事業者の会計ソフトの利用状況等の確実な記載を要請しており、現実を踏まえた適切な記載が求められる。
1 所得税及び復興特別所得税の確定申告書第1表の収入金額等のア~ウ欄の区分
2 法人税及び地方法人税の申告に係る法人事業概況書に設定している、「5 PC利用状況」に係る項目
 
(参考)「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2023-」

https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/digitaltransformation2023/index.htm

 

(参考)「事業者のデジタル化促進」

https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/jigyousyadx.htm