2025-01-09
ユネスコ無形文化遺産保護条約第19回政府間委員会において、「伝統的酒造り」の代表一覧表記載に関する審議が行われ、日本時間令和6年12月5日(現地時間令和6年12月4日)、「記載」との決議がなされた。
政府は、日本酒、焼酎、泡盛などの文化資源についてユネスコ無形文化遺産への登録への取組方針を掲げており、令和3年12月2日には「伝統的酒造り」が登録無形文化財に登録された。その後、令和5年3月にユネスコ事務局へ再提出された提案書(当初は令和4年3月)が認められ、今回の登録に至ったものである。
国内の酒市場は、少子高齢化や人口減少といった人口動態の変化、消費者の低価格志向、ライフスタイルの変化、嗜好の多様化などにより縮小傾向にある。また、酒類業従事者の高齢化や後継者不足、とりわけ杜氏が有する技術やノウハウの継承が喫緊の課題となっている。
酒類の課税数量と課税額は密接に関係しており、酒類業界の不振は酒税の税収減に直結する。事実、課税額は平成6年のピークから減少傾向が続き、令和2年および3年に底を打った。国税庁も酒類市場の拡大や業界全体の活性化を重要視しており、今回のユネスコ無形文化遺産登録に際して、国税庁長官は次のようにコメントしている。「この登録を契機に、国内のみならず海外の方にも『伝統的酒造り』の歴史や文化の豊かさを知っていただき、 海外への更なる展開も含め、酒類業の振興に取り組んでまいります。」
政府は、農林水産物・食品の輸出目標として「2025年までに2兆円、2030年までに5兆円」を掲げ、清酒、ウイスキー、本格焼酎・泡盛を輸出重点品目に位置づけている。日本産酒類の輸出金額は、世界の酒類市場全体から見れば、わずか0.1%程度ではあるが、国際的な評価の高まりを背景に年々増加しており、令和5年の輸出金額は、1,344億円に達した。
令和7年度の概算要求では、酒類業振興に34.8億円が計上されている。販路拡大を目指し、海外の大規模展示会での日本産酒類出展や、酒類輸出コーディネーターのプロモーションセミナーなどの企画・実施を行う。また、海外販路拡大に関する酒類事業者の主体的な取り組みを補助金により支援することとしている。
(参考)酒のしおり
(参考)「伝統的酒造り」のユネスコ無形文化遺産登録に当たって
(参考)令和7年度概算要求(酒類業振興関係)の概要