2025-01-14
国税庁は、令和5年分における相続税の申告事績を公表した。
令和5年分の被相続人数(死亡者数)は、厚生労働省の人口動態統計によると1,576,016人で、前年対比100.4%となった。このうち、相続税の申告書を提出した被相続人数は全体のおよそ1割にあたる155,740人(同103.2%)だった。また、相続税の納税者である相続人数は339,098人(同102.9%)だった。
課税価格は21兆6,335億円(同104.6%)、申告税額の総計は3兆53億円(同107.4%)といずれも増加した。なお、課税価格とは、相続財産価額に相続時精算課税適用財産価額を加え、被相続人の債務・葬式費用を控除し、さらに相続開始前3年以内の被相続人から相続人等への生前贈与財産価額を加えたものである。
相続税額のある申告書データから抽出した相続財産別の金額は以下のとおりで、いずれの項目も増加し、過去10年で最高となった。
・土地 7兆1,425億円
・家屋 1兆1,452億円
・有価証券 3兆8,779億円
・現金・預貯金等 7兆9,633億円
・その他 2兆5,817億円
国税庁は、相続税申告のe-Tax利用を推進しているが、利用率は他の税目に比べて低い状態が続いている。令和5年度の利用は8.5万件、利用率は37.1%にとどまった。
相続税申告のe-Taxに関連して、相続人等の利用者識別番号が不明な場合、委任を受けた税理士が「電子申告の変更等届出書」を提出することで、税務署から利用者識別番号の有無や番号を電話で確認できる制度がある。しかし、この手続きを利用すると、相続人等のパスワードがリセットされる問題があり、使い勝手が良いものではなかった。これについて、令和6年12月から手続きが簡素化され、パスワードのリセット有無を選択できるよう改善され、また、パスワードのリセットが不要な場合には、1件の届出書で複数の相続人等の利用者識別番号の有無を確認できるようになるなど、さらなる効率化が図られた。
さらに、令和7年1月からは、e-Taxマイページの「各税目に関する情報」に「贈与税関係」が新たに追加され、過去にe-Taxで提出された贈与税申告書が参照可能となるので、今後一層、e-Taxの利便性が高まると期待される。
(参考)令和5年分相続税の申告事績の概要
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/sozoku_shinkoku/pdf/sozoku_shinkoku.pdf
(参考)「利用者識別番号」が不明な場合はコレで確認
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/pdf/0023011-093.pdf
(参考)令和7年1月からe-Taxが一層便利になります